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仕事・所得と資産選択(’08) 第7回

第7回は「若い人の仕事と生活設計」です.

失業率は全年齢層では4.1%であるが,15~19歳は9.4%,20~24歳は7.7%と若年層の失業率は高い.対して就職率は,高卒者93.9%,大卒者96.3%である(2006年).しかし,大学新卒者の就職率は1990年に81%であったが,2005年には男性56.6%,女性64.1%にまで減少している.正社員として採用された割合は,大卒66.7%,高卒40.4%と減少している.一方,パート・アルバイトとして採用された割合は,大卒19.4%,高卒25.9%にものぼり,近年増加傾向である.転職率は男女・年齢別に見ると,男女とも15~24歳の若い世代で転職者の比率が最も高い.男性のパートアルバイトの転職率が13.2%と最も高く,続いて女性のパート・アルバイトの転職率が10.9%である(2005年).男女とも正社員の転職率は3.5%~4.3%と低い.転職は巷でいわれているほど容易なことではないことが分かる.

正社員の平均月給は31万8800円であるが,派遣などの非正社員は19万1000円と差が大きい.60歳までの退職金を除いた生涯賃金総額を比較すると,正社員は約2億3500万円,非正社員1億3500万円とその差は1億円にものぼる.女性の場合も正社員が1億6300万円,非正社員が9800万円と格差が生じている(2006年).

失業する前,1年間に6ヶ月間以上,雇用保険に加入している人が職を失い,再就職する意思があるのに働き口が見つからない場合,ハローワークで手続きすると失業給付が受給できる(第6回を参照).

仕事・所得と資産選択(’08) 第6回

第6回は「社会保障と家計」です.

社会保障は狭義には公的扶助,社会福祉,社会保険,公衆衛生・医療,老人保健を指すが,これに恩給と戦争犠牲者支援を加えると広義の意味となる.保険の技術を用いて保険料を財源として給付を行う「社会保険」と,保険の技術を用いず租税を財源として給付を行う「社会扶助」との分類できる.

国民年金は20歳以上60歳未満までの40年間加入する制度である.加入者の属性によって,農業,自営業者や学生を第一号被保険者,サラリーマンやOLを第二号被保険者,第二号被保険者の被配偶者は第三号被保険者に分類される.第二号被保険者は国民年金に加えて厚生年金や共済年金にも加入している.保険料の免除制度として,若年者納付猶予制度と学生納付特例制度がある.若年者納付猶予制度は20歳代で本院や配偶者の所得が一定額以下の場合,申請すれば保険料納付が猶予される.猶予期間は受給要件に含まれるが,満額受給したい場合,その後10年間のうちに保険料を納付することができる.学生納付特例制度は,教育施設に在学する20歳以上の学生に対して,本人の所得が一定額以下であれば,国民年金の保険料納付を猶予する制度である.猶予期間は受給要件に含まれるが満額受給には追納が必要である.ただし,2年を過ぎたものについては加算額が必要となる

労働保険とは労働者災害補償保険と雇用保険とを総称したものである.労働者災害補償保険は労働者が業務上の業務の事由または通勤によって負傷したり,病気に見舞われたり,あるいは不幸にも死亡した場合に,被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行う強制加入の保険である.近年は,労働時間の延長などの環境を反映してか,過労死や業務上のストレスに関する傷病も労災として認定されている.心の病で労災認定された人は,平成18年度は過去最高の205人であり,そのうちの40%は30歳代であった.

雇用保険は失業などによって,収入が減った人の生活を安定させ,同時に失業そのものを予防するための制度をいう.雇用保険には,失業等給付と雇用保険3事業の2つがある.失業等給付とは,労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に,労働者の生活および雇用の安定を図るとともに,再就職を促進するために必要な給付を行うものである.雇用保険3事業とは,雇用安定事業,能力開発事業,雇用福祉事業が含まれる.求職者給付の基本手当(いわゆる失業手当)は賃金の80~50%に相当する額で,定年や自己都合による離職者への支給日数を圧縮して,倒産やリストラによる離職者や中高年齢者の一定の支給日数を確保している.再就職手当は離職の予想可能な定年・自己都合による離職と,離職の予測が不可能な倒産・解雇による離職に分類し,前者の所定給付日数を減らし,後者の45歳以上60歳未満の年齢層の所定給付日数を拡充している.

父母が婚姻を解消している場合や,父が死亡した児童などを監護し,養育している母または養育者に支給されるのが児童扶養手当である.児童とは,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者,または20歳未満で政令により定める程度の障害の状態にある者をいう.受給条件は,離婚が成立している,子どもが父から引き続き1年以上遺棄されているがあげられる.扶養義務者等の所得制限があるが,1人月額41720円,2人の場合は46720円である(2008年).

仕事・所得と資産選択(’08) 第5回

第5回は「ライフサイクルと貯蓄,負債」です.

大正時代の平均的ライフサイクルは,女性21.2歳,男性25歳で結婚する.女性は23.6歳に長子を出産し,36歳時に第5子まで出産し,出産期間は14.7歳,子どもの扶養期間は27.3年に及ぶ.一方,平成3年のライフサイクルは,女性25.9歳,男性28.4歳と晩婚化が進んでいる.女性は27.4歳で第1子を出産し,子どもは2人だけなので30歳の時には出産を終了している.子どもの扶養期間は23年と短い.さらに,平成17年では,平均初婚年齢は男性29.4歳,女性27.6歳とより晩婚化が進んでいる.

ライフステージの分類には様々な方法があるが,一般に幼児期,学校教育期間,勤労期,結婚,出産,熟年期,引退期,老後,死亡等などがあると考えられる.生まれるまでに,検診,出産,新生児準備費用とおよそ50万円が必要である場合がある.私立幼稚園に3年間通園する費用は150万円と言われる.義務教育として小中学校に通学するが,教科書代と授業料は必要ない.しかし,学校外活動として,塾や稽古事で,小学校6年間で200万円,中学校3年間で140万円程度が必要と言われている.

障害にどれほど手取り収入があるかを「生涯可処分所得」で計算し,次に生涯支出を引くことで,生涯収支を求めている.試算によれば,生涯可処分所得は約3億3300万円である.これには,妻のパート収入分,約6900万円が含まれている.生涯支出は3億900万円といわれており,生涯収支は2400万円の黒字となる.

貯蓄率が高いということは,慎重な国民性ということもできるが,国家の社会保障システムに不安があるため,自助努力をせざるを得ないという理由も考えられる.国際社会の中での貯蓄率を比較すると,日本の貯蓄率は徐々に減少しており,最近ではフランスやドイツの方が高い.勤労世帯の貯蓄額の分布をみると,平均値が1292万円,中位数が807万円である.平均値は4000万円以上の貯蓄を持つ一部の富裕層に引っ張られて高めになる,一方で200万円未満が最頻層であり,貯蓄は低い方に偏っている.

貯蓄の基本が「まさかのため」の備えである点は,年齢が違っても同じである.その運用に関しては,定期制預貯金が最も多く,次に生命保険等が続き,この2つで全体の70%を占めている.有価証券は実のところ多くはなく,「元本が保証されていること」「少額でも預け入れや引出しが自由」「取扱金融機関が信用できて安心」という,金融商品の選択における重視項目と合致する.貯蓄に際しては安全性,流動性,収益性に分けて考えられるが,安全性を重視する人が50%,流動性が30%,収益性が20%である.

負債のない世帯は50.2%と全体の半数を占めている.しかしその一方で,2400万円以上の世帯が8.1%である,平均負債額は1238万円にものぼる.中位数は965万円である.

通信指導はこうやってまとめて送る

時期的に放送大学生は第2学期の通信指導に追われている頃かと思います.追い込みが終わったくらいかもしれませんが.

放送大学は文部科学省認可通信教育に該当しますので,第四種郵便として1科目15円で通信指導答案を送ることができます.しかしながら,15円で送れるのは100gまでであり,1科目100gってわけではないので,もっと節約できそうです.一見すると,第四種郵便は特殊なので,指定の封筒じゃないと送れないような気がしますが,実際はそうでもなく,通信指導答案をまとめて送ることが可能です.

字が汚いのは気にしないとして,このような感じにすれば送れます.表書きは付属の封筒と同じことを書いています.注意すべき点は以下の3点です.

  • 「第四種郵便」と明記すること
  • 「文部科学省認可通信教育」の「通信指導答案」が入っていると明記すること
  • 封筒の右肩を切り取り,中身を確認できるようにしておくこと

後は,郵便局の窓口に赴き,「四種で」といえばオッケーです.今回は3教科分をまとめて送りましたが,15円でした.30円の節約ですね.

関連:

仕事・所得と資産選択(’08) 第4回

第4回は「家計収支と家計簿の活用」です.

収入は実収入,実収入以外の収入,繰入金の3つからなっており,収入総額と呼ばれる.実収入はさらに経常収入と特別収入に分かれている.実収入以外の収入には貯蓄引出しと借入金がある.支出も実支出,実支出以外の支出,繰越金の3つからなっている.この3つを合わせた金額を支出総額と呼んでおり,収入総額と支出総額はイコールの関係になる.実支出は消費支出と非消費支出からなる.消費支出には5大費目分類と10大費目分類があるが,一般的に10大費目分類が用いられている.非消費支出は税金や社会保険料等である.実支出以外の支出は,預貯金や借金の返済などである.

黒字とは,実収入から税金や社会保険料である非消費支出を引いた可処分所得と実支出との差額である.この金額がマイナスになると赤字である.

家計分析では弾力性という概念を用いて,必需品と贅沢品を決めている.収入あるいは消費の増え方に対して,それぞれの費目の増え方がどの程度であるか,その支出弾力性を測るもので,弾力性係数ηで示す.弾力性係数が1以下の費目を必需品,1以上の費目を贅沢品,マイナスの費目を下級品という.表4-2によれば,男子用下着類が必需品である一方,婦人用下着類は贅沢品である.また,たばこは下級品である反面,酒類は必需品止まりである.なにかしっくりこないですね.

昔と今とどれほど生活水準が変化したのかを分析する方法として,消費者物価指数を用いた消費水準の測定がある.消費者物価指数で消費支出金額を割ることによって,消費支出金額は比較可能となるので,このような数値を消費水準指数と呼んでいる.物価指数は毎月26日を含む週の金曜日の午前8時に公表されている.まさに今週ですね.

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