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仕事・所得と資産選択(’08) 第5回

  • 投稿: 2010年11月28日 16:27
  • 更新: 2010年11月28日 16:27
  • 教育

第5回は「ライフサイクルと貯蓄,負債」です.

大正時代の平均的ライフサイクルは,女性21.2歳,男性25歳で結婚する.女性は23.6歳に長子を出産し,36歳時に第5子まで出産し,出産期間は14.7歳,子どもの扶養期間は27.3年に及ぶ.一方,平成3年のライフサイクルは,女性25.9歳,男性28.4歳と晩婚化が進んでいる.女性は27.4歳で第1子を出産し,子どもは2人だけなので30歳の時には出産を終了している.子どもの扶養期間は23年と短い.さらに,平成17年では,平均初婚年齢は男性29.4歳,女性27.6歳とより晩婚化が進んでいる.

ライフステージの分類には様々な方法があるが,一般に幼児期,学校教育期間,勤労期,結婚,出産,熟年期,引退期,老後,死亡等などがあると考えられる.生まれるまでに,検診,出産,新生児準備費用とおよそ50万円が必要である場合がある.私立幼稚園に3年間通園する費用は150万円と言われる.義務教育として小中学校に通学するが,教科書代と授業料は必要ない.しかし,学校外活動として,塾や稽古事で,小学校6年間で200万円,中学校3年間で140万円程度が必要と言われている.

障害にどれほど手取り収入があるかを「生涯可処分所得」で計算し,次に生涯支出を引くことで,生涯収支を求めている.試算によれば,生涯可処分所得は約3億3300万円である.これには,妻のパート収入分,約6900万円が含まれている.生涯支出は3億900万円といわれており,生涯収支は2400万円の黒字となる.

貯蓄率が高いということは,慎重な国民性ということもできるが,国家の社会保障システムに不安があるため,自助努力をせざるを得ないという理由も考えられる.国際社会の中での貯蓄率を比較すると,日本の貯蓄率は徐々に減少しており,最近ではフランスやドイツの方が高い.勤労世帯の貯蓄額の分布をみると,平均値が1292万円,中位数が807万円である.平均値は4000万円以上の貯蓄を持つ一部の富裕層に引っ張られて高めになる,一方で200万円未満が最頻層であり,貯蓄は低い方に偏っている.

貯蓄の基本が「まさかのため」の備えである点は,年齢が違っても同じである.その運用に関しては,定期制預貯金が最も多く,次に生命保険等が続き,この2つで全体の70%を占めている.有価証券は実のところ多くはなく,「元本が保証されていること」「少額でも預け入れや引出しが自由」「取扱金融機関が信用できて安心」という,金融商品の選択における重視項目と合致する.貯蓄に際しては安全性,流動性,収益性に分けて考えられるが,安全性を重視する人が50%,流動性が30%,収益性が20%である.

負債のない世帯は50.2%と全体の半数を占めている.しかしその一方で,2400万円以上の世帯が8.1%である,平均負債額は1238万円にものぼる.中位数は965万円である.

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