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仕事・所得と資産選択(’08) 第2回

  • 投稿: 2010年11月23日 23:43
  • 更新: 2010年11月23日 23:43
  • 教育

第2回は「外国の家計研究の歴史」です.要するにエンゲルですね.てか,歴史はエンゲル以前,エンゲル,エンゲル以後に分類されるらしい.どんだけ,エンゲルなんだよwww.

18世紀前後のイギリスでは,家計は国家の問題として取り上げられていた.ペティは「国富」を計算して,アイルランドの通商力やイングランドの担税力を測定した.彼は国民の中位の人々の消費内容を金額に見積もり,これに人口を掛けて「国富」を算出した.このような方法を「政治算術」と呼ぶ.

「エンゲル法則」はデュクペチオーの研究がなければ生まれなかったかもしれない.各国で起こっている革命の原因を明らかにするために,労働者の生活を知る必要性が説かれ,そのために労働者の家計を国際的に収集することが第1回国際統計専門会議で決定された.デュクペチオーの助力を得て,1853年,ベルギー国内から約1000もの労働者の家計を収集し,その中から153の労働者家計の家計簿が収支項目別,収支階級別に分類され,まとめられた.彼の先駆的な試みは,近代家計調査の出発点であり,エンゲル自身は家計調査を行わず,デュクペチオーの報告書を元に分析を行ったことを考えると,デュクペチオーなくしてエンゲルの家計研究はなかったかもしれない.

エンゲルは生活費を中心とした研究を「個人福祉の測定」「家族福祉の測定」「国民福祉の測定」の3側面から行い,これらを合わせて「デモス(Demos)」と呼ぼうとしていた.分析の結果,「国民の福祉は「消費の中数」によって規定される.飲食物のための,そしてまた一般に肉体を維持するための支出が,総支出の中のより少ない百分率を要求しているならば,国民は,それだけ豊かであり,反対の場合には,その逆である.支出のなかで飲食物や肉体維持に回される割合が減少してゆく方向に「消費の中数」が上昇してゆくならば,それは福祉増大の証拠であり,下降すれば福祉現象の証拠である」.これを「エンゲルの法則」と呼ぶが,エンゲル自身が命名したものではない.

エンゲルが明らかにした法則を「エンゲル法則」として世に広めたのは,マサチューセッツ州の労働局長であったライトである.同様に,シュワーベは「貧乏になればなるほど,所得のうち家賃に支出しなければならない割合は大きくなる」と結論づけており,これは「シュワーベの法則」として知られている.

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