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仕事・所得と資産選択(’08) 第3回

  • 投稿: 2010年11月24日 23:19
  • 更新: 2010年12月06日 17:22
  • 教育

第3回は「わが国の家計調査の歴史」です.誤植があったので,質問票から誤植報告出しておきました.p.38 l.2の「1971年」は「1981年」の誤りです.

日本では大正5(1916)年から家計調査が始まった.この調査結果から,典型的とされる20世帯の労働者の家計ですら「大多数は少許の剰余かあるいは不足を生じたる有様」であり,総支出の1/3強は米代と家賃で占められており,これに光熱,被服,保健などの生活必需費を算入すると,総支出の80.8%に及ぶとし,まさに「エンゲル法則」が生きていることを証明した.その後,大正末期までの間に家計調査狂時代」といわれるほど多くの家計調査が実施されたが,家計分析の結果やその手法,政策にはあまりみるべきものはなく,調査によって時間を稼ぐ「鎮静剤的役割」を持っていた.

戦後になると消費者価格調査がGHQの指令に基づき,昭和21(1946)年に実施された.昭和23(1948)年7月には勤労者世帯収入調査が行われ,昭和25年にはこれら2つの調査を1つにまとめた消費実態調査が行われた.昭和28(1953)年からは品目分類から用途分類に変え,家計調査と呼ばれるようになった.

エンゲル法則が当てはまるのは,一定の収入範囲であることが紹介され,エンゲル法則が適用されない,低所得者層をエンゲル前型,高所得者層をエンゲル後型と呼んだ.戦後すぐはエンゲル前型に45~50%の世帯が属していたといわれる.昭和36(1961)年に生活保護基準額の算定にエンゲル関数が用いられた.

昭和56(1981)年,これまで用いられていた「5大費目分類」(食料費,住居費,光熱費,被服費,その他の諸費)から,「10大費目分類」(食料費,住居費,光熱・水道費,家具・家事用品費,被服及び履物費,保健医療費,交通・通信費,教育費,教養娯楽費,その他の消費支出)へと変更された.

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