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放送大学

大学と社会(’08) 第9回

第9回は「高度情報化社会と大学」です.

コンピュータの発達とネットワーク社会の出現により,大学にも大きな改革が起こった.15世紀の印刷革命は,知的・学問的営みのあり方を根本的に変革した.それまでの写本では不可能であった大量で安価なテキストの生産と流通は,面倒な書写や暗記から学者達を解放した.印刷メディアの登場は,学者達の間での活発な議論・論争を促した.同時に,選手権という概念も生み出した.その結果,科学者を研究に駆り立てるのは,単なる知的好奇心というよりも,先取権を目指してのライバルとの競争心となった.

その後,18~19世紀を通じて学問分野は細分化され,19世紀中葉には科学の制度化に伴って科学は専門職業となった.「科学者」(Scientist)という英語は1830~40年代に造語された.

科学の専門細分化がさらなる細分化を促し,結果として,多くの専門的な科学雑誌が次々と創刊されるという,際限のないプロセスが始まった.雑誌の急増の結果,科学者達は興味深い新しい情報や知識を迅速かつ適切に把握できなくなってしまった.

情報爆発の救世主として登場したのが,コンピュータである.コンピュータは記憶媒体に大量の情報を蓄積し,必要に応じて情報を瞬時に検索して取り出すことができる.また,1980年代になるとコンピュータが通信の手段としても利用されるようになった.

近年,文献情報だけではなく,研究論文そのものが電子化されて直接インターネットを通じて電子ジャーナルとして出版されるようになった.また,図書館の電子化も盛んに議論されている.電子図書館が充実することは,e-ラーニングなどの電子化された教育の実質化に必要不可欠である.

コンピュータ革命と高度情報化社会の進展によって大学における研究と教育は大きく変化したが,この変化を知識生産の様式(モード)の根本的な変化とみることもできる.M・ギボンズらは,従来の知識生産の様式をモード1と呼んだ.また,近年の研究や知識生産のあり方はモード2と呼ばれている.モード1とは概ね大学を中心としたアカデミズム科学的な研究のあり方,知識生産のモードである.したがって,知識生産はもっぱら大学人の専売特許となっていた.また,大学人は自ら生産した知識が,役に立つか立たないかについて,無頓着であった.知識の生産の場としての大学は,外部に閉じていた.一方でモード2では,研究テーマを設定しそれを遂行するにあたって,研究費を直接負担しているスポンサーに対して,あるいは広く社会一般に対して,自らの研究の意義とその成果に説明責任を課されるようになってきた.

1980年代以降,大学・高等教育についても,市場原理・競争原理の適用が強調され,大学における研究・教育の内容と経済社会のニーズとの適合性が求められるようになった.大学・高等教育は競争的な資金配分へシフトした.いわば大学が企業のようになり,個々の教員も企業家あるいは資本家のように振るまい始めた.一部の論者は,この状況をアカデミック・キャピタリズム(大学資本主義)と呼んでいる.

仕事・所得と資産選択(’08) 第9回

第9回は「共働き世帯と方働き世帯の経済」です.

サラリーマン家庭が増えるまでは,農家や自営業の家庭では,共働きが当たり前であったが,サラリーマン家庭が一般的になってくると,専業主婦世帯の割合の方が多くなった.近年は,女性の社会進出や子育て終了後の女性の社会復帰などで,共働き世帯の方が若干であるが多く推移している.勤労者世帯のうち,核家族で夫婦が共に働いている世帯の割合は約30%である.世帯主が男性の場合,世帯主の収入は専業主婦世帯の方が高いが,共働き世帯では妻の収入を加えると共働き世帯の方が高くなるため,妻の収入で世帯主の収入の不足分を補っているといえる.

共働き世帯の場合,夫は1次活動(睡眠,食事,身の回りの用事)と3次活動(休養,自由時間,交際・付き合い)の時間が妻よりも長い.とくに睡眠時間は,妻は夫よりも約30分短い.専業主婦世帯の場合,この傾向は逆転し,夫の方が1次活動と3次活動の時間が妻よりも短くなる.しかし,夫の生活時間そのものは,共働き世帯と専業主婦世帯ではあまり違わないことから,妻の生活時間が違うことが影響しているといえる.家事関連の時間は,専業主婦世帯の妻の方が3時間ほど長くなるが,夫の家事関連時間を見た場合,専業主婦世帯の夫の方が,共働き世帯の夫よりも少しではあるが,長いのは何故であろうか.

離婚や死別によって満20歳未満の子どもで未婚の者と暮らす場合,片親世帯となる.母子世帯になる理由は,昭和27年は80%以上が死別であったが,平成15年には逆転して約90%が性別となっており,その80%が離婚である.母子世帯の平均収入が212万円であるのに対して,父子世帯は390万円である.就労収入では,母子世帯が平均162万円に対して,父子世帯は320万円である.分布を見ると,100万円未満に307%,100~200万円に38.1%と集中しており,低所得者が多いのが特徴である.

仕事・所得と資産選択(’08) 第8回

第8回は「結婚と離婚の経済」です.無縁です.

婚姻件数と婚姻率をみると,終戦直後の昭和22,23年には第1次婚姻ブームがあり,95万組であった.その後,昭和45年に第2次婚姻ブームがあり,その後は増加する時期もあるが,減少傾向にある.近年では再婚件数が徐々に増加しており,平成17年には全婚姻数の1/4を占めている.婚姻時の平均初婚年齢は上昇傾向にあり,昭和50年に男性が27歳,女性が27.4歳であったが,平成17年には男性が29.4歳,女性は27.6歳と少しずつ伸びている.戦後,結婚するきっかけは見合い結婚が60%以上を占めていたが,今や6.4%までに減少し,80%以上が恋愛結婚による結婚である.25~29歳の未婚率は男性が70%,女性が60%と上昇傾向にある.30~34歳の未婚率は男性が50%弱,女性が30%強,さらに35~39歳では男性が30%,女性が20%弱と高い.さらに,これらの数値は近年上昇傾向にあることから,晩婚化,未婚化の進展をうかがえる.

結婚して2人以上になると,生活費用が単身時の2倍かかるわけではない.単身世帯の生活費は約18万円/月である.2人以上世帯では30万円なので,1世帯当たりの生活費は2人以上世帯の約0.6倍である.って正誤表が挟まってるんだけど,文脈がおかしい.正しくは「2人以上世帯では30万円なので,1世帯当たりの生活費は単身世帯の約1.7倍である.」が正しいと思う.前文の受ける語が2人以上世帯になっているので,後文で再び2人以上世帯の~と出てくるのはしっくり来ない.

閑話休題.離婚率は2005年調査で2.08%である.若年層の離婚率が高いが,熟年離婚も増えている.離婚に至るまでの同居期間は,5年未満が35%と最も多く,次が5~10年の22%である.一方で,20年以上の同居期間を経て離婚した件数が15%もある.離婚の動機は,男性の場合「性格が合わない」「異性関係」「家族・親族と折り合いが悪い」「浪費」「異常性格」であり,女性の場合「性格が合わない」「暴力をふるう」「異性関係」「生活費を渡さない」「精神的虐待」となっており,女性の場合はドメスティック・バイオレンスの内容が多い.しかし,どちらの理由においても,第4位には経済的理由が入っているのは興味深い.

離婚の時に問題となる経済問題が,離婚の慰謝料,財産分与,養育費等である.慰謝料の平均は190万円と低いが,これは結婚年数,離婚に至った責任の重さ,支払い能力等が考慮される.婚姻期間が1年未満の場合,100~300万円,20年以上だと500~1000万円となる.財産分与は100万円以下が26%で最も多い.養育費の金額を決めるには,平成15年4月以降は簡易な算定票が一般的に用いられている.養育費は平均44660円/月である.

仕事・所得と資産選択(’08) 第7回

第7回は「若い人の仕事と生活設計」です.

失業率は全年齢層では4.1%であるが,15~19歳は9.4%,20~24歳は7.7%と若年層の失業率は高い.対して就職率は,高卒者93.9%,大卒者96.3%である(2006年).しかし,大学新卒者の就職率は1990年に81%であったが,2005年には男性56.6%,女性64.1%にまで減少している.正社員として採用された割合は,大卒66.7%,高卒40.4%と減少している.一方,パート・アルバイトとして採用された割合は,大卒19.4%,高卒25.9%にものぼり,近年増加傾向である.転職率は男女・年齢別に見ると,男女とも15~24歳の若い世代で転職者の比率が最も高い.男性のパートアルバイトの転職率が13.2%と最も高く,続いて女性のパート・アルバイトの転職率が10.9%である(2005年).男女とも正社員の転職率は3.5%~4.3%と低い.転職は巷でいわれているほど容易なことではないことが分かる.

正社員の平均月給は31万8800円であるが,派遣などの非正社員は19万1000円と差が大きい.60歳までの退職金を除いた生涯賃金総額を比較すると,正社員は約2億3500万円,非正社員1億3500万円とその差は1億円にものぼる.女性の場合も正社員が1億6300万円,非正社員が9800万円と格差が生じている(2006年).

失業する前,1年間に6ヶ月間以上,雇用保険に加入している人が職を失い,再就職する意思があるのに働き口が見つからない場合,ハローワークで手続きすると失業給付が受給できる(第6回を参照).

仕事・所得と資産選択(’08) 第6回

第6回は「社会保障と家計」です.

社会保障は狭義には公的扶助,社会福祉,社会保険,公衆衛生・医療,老人保健を指すが,これに恩給と戦争犠牲者支援を加えると広義の意味となる.保険の技術を用いて保険料を財源として給付を行う「社会保険」と,保険の技術を用いず租税を財源として給付を行う「社会扶助」との分類できる.

国民年金は20歳以上60歳未満までの40年間加入する制度である.加入者の属性によって,農業,自営業者や学生を第一号被保険者,サラリーマンやOLを第二号被保険者,第二号被保険者の被配偶者は第三号被保険者に分類される.第二号被保険者は国民年金に加えて厚生年金や共済年金にも加入している.保険料の免除制度として,若年者納付猶予制度と学生納付特例制度がある.若年者納付猶予制度は20歳代で本院や配偶者の所得が一定額以下の場合,申請すれば保険料納付が猶予される.猶予期間は受給要件に含まれるが,満額受給したい場合,その後10年間のうちに保険料を納付することができる.学生納付特例制度は,教育施設に在学する20歳以上の学生に対して,本人の所得が一定額以下であれば,国民年金の保険料納付を猶予する制度である.猶予期間は受給要件に含まれるが満額受給には追納が必要である.ただし,2年を過ぎたものについては加算額が必要となる

労働保険とは労働者災害補償保険と雇用保険とを総称したものである.労働者災害補償保険は労働者が業務上の業務の事由または通勤によって負傷したり,病気に見舞われたり,あるいは不幸にも死亡した場合に,被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行う強制加入の保険である.近年は,労働時間の延長などの環境を反映してか,過労死や業務上のストレスに関する傷病も労災として認定されている.心の病で労災認定された人は,平成18年度は過去最高の205人であり,そのうちの40%は30歳代であった.

雇用保険は失業などによって,収入が減った人の生活を安定させ,同時に失業そのものを予防するための制度をいう.雇用保険には,失業等給付と雇用保険3事業の2つがある.失業等給付とは,労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に,労働者の生活および雇用の安定を図るとともに,再就職を促進するために必要な給付を行うものである.雇用保険3事業とは,雇用安定事業,能力開発事業,雇用福祉事業が含まれる.求職者給付の基本手当(いわゆる失業手当)は賃金の80~50%に相当する額で,定年や自己都合による離職者への支給日数を圧縮して,倒産やリストラによる離職者や中高年齢者の一定の支給日数を確保している.再就職手当は離職の予想可能な定年・自己都合による離職と,離職の予測が不可能な倒産・解雇による離職に分類し,前者の所定給付日数を減らし,後者の45歳以上60歳未満の年齢層の所定給付日数を拡充している.

父母が婚姻を解消している場合や,父が死亡した児童などを監護し,養育している母または養育者に支給されるのが児童扶養手当である.児童とは,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者,または20歳未満で政令により定める程度の障害の状態にある者をいう.受給条件は,離婚が成立している,子どもが父から引き続き1年以上遺棄されているがあげられる.扶養義務者等の所得制限があるが,1人月額41720円,2人の場合は46720円である(2008年).

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