ホーム > タグ > 放送大学

放送大学

平成24年度第1学期単位認定試験

試験期間は既に始まっていますが,今日から参戦しました.今学期は以下5科目を受験します.

  • 発達心理学概論(’11)
  • 心理学史(’10)
  • 心理学研究法(’08)
  • 保育カウンセリング(’08)
  • 授業研究と学習過程(’10)

今日は発達心理学概論(’11)を受けてきました.緑科目なのに,勉強不足すぎて苦労しました.勘は冴えていたようで,概ねあっていましたが,自信を持って回答できるレベルでないといけないことは明らかなので,これではダメだと思います.素朴に感じるのは,今期は色々と無理がありました.受験科目が過去最多の5科目である上に,集中講義とはいえ面接科目2科目も受講したので,正味7科目を受講しています.今までは高々4科目だったので,どう考えてもキャパシティオーバです.残り4科目も死ぬ気で頑張る.

201207291614追記

心理学史(’10)を受けてきました.評判通り,ひたすらテキストをひっくり返す作業です.でも,4択が10問なので,全探索しても高々40個なので,大したことはないです.しかも,苦手なくせに意外と記憶にすり込まれていたようで,チェックするのも早くできて,結局30分で出れました.ただ,いくつかの問題は索引からは引けなかったので,関連箇所から辿る形になるので,ちょっと時間を要しました.放送授業だけではなく,満遍なく広範囲から出題されていて,なかなかです.

201207312000追記

心理学研究法(’08)を受けてきました.持込可だったので,特に心配事はないです.試験内容はよく考えられていて,調べたらおしまいという類のものではなく,総合的に理解しているかを判定できるような問題になってました.持込可の択一式試験だと,ああいう出題がいいよねって思いました.

201208020012追記

最後の2科目である保育カウンセリング(’08)と授業研究と学習過程(’10)を受けてきました.両科目とも可もなく不可もなくという,平凡な結果に終わっていると思います.学びたくて学んでいるのに,こんなことではダメだと思います.気持ちを新たに,真剣に学びに取り組まなくてはならないと思いました.

授業研究と学習過程(’10)

今学期受講している5科目のうち,「授業研究と学習過程(’10)」を聴講し終えたので,簡単なまとめをしておく.教育者としての基本的素養だった.

知識社会における学習と学校教育

国際的動向の中で,TIMSSやPISAなどの国際学力調査や国内での教育課程実態調査が行われてきている.日本ではこれらのテストで測定される,習得された知識や技能としての学力が低下している.また「学びからの逃走」といわれるように,学習に対する意欲も低下している.

この学習意欲や学力の低下,特に学力格差に対応し,全ての子どもたちが公教育である学校での授業に能動的に参加し,どの子もこれからの時代に必要なキー・コンピテンシーを習得できる質の授業を行うことが求められている.

OECDは知識基盤社会に求められる3つのキー・コンピテンシーとして,知識や技術だけではなく,様々な心理的・社会的なリソースを活用し,特定の文脈の中で複雑な課題に対応できる力の育成を国際的に求めてきている.

  1. 社会・文化的,技術的ツールを相互作用的に活用する能力
  2. 多様な集団における人間関係形成能力
  3. 自律的に行動する能力

OECDが2000年に実施した,15歳生徒の学校への取り組みとしての「参加度」と「帰属意識」の調査結果によると,日本,韓国,中国という東アジアの子どもたちが共通して,物理的に学校には出席しているが,学級や学校への帰属意識は他の国に比べて低い状況にあることがわかる.東アジア型の教育とも呼ばれる一斉型の授業形式が,現在の子どもたちの要求やこれからの知識社会の学習にあっているのかを考えていくことが必要になる.

知識社会の学習環境デザイン

学習科学の研究者であるSawyerは,20世紀の産業主義社会に対応する伝統的な学校教育のあり方を「教授主義」と呼び,それと対比して21世紀の知識社会の学習のあり方を示している.教授主義では「知識は正解に関する事実と問題を解決する手順から構成されている.学校教育の目的はこれらの事実と手順を生徒たちの頭に入れることである.教師はこれらの事実と手順を知っており,それを生徒に伝えることが仕事である.比較的単純な事実と手順から始まり,次第により複雑なものが学ばれる.この単純さと複雑さの基準や定義,教材の適切な配列は,教師や教科書の著者や数学者,科学者,歴史学者などの専門家によって決められる.学校教育の成功とは,生徒たちが多くの事実と手順を身につけていることであり,それはテストによって測定される」という見方で構成されてきたという.これに対し,21世紀の学習科学では次の点がポイントになる.

  • より深い概念的な理解を大事にする.
  • 指導法だけでなく,学習に焦点をあてる.
  • 学習環境を創る.
  • 学習者の既有知識に基づく環境.
  • 省察を促す.

「学習者中心」とは,生徒たちが教室に持ち込む知識や技能,態度などに関心を払い,授業の場で生徒が思考し学習するのに適した学習課題やその課題の提示順序,生徒が好む学習活動や得意とする活動などに配慮して学習活動を組織していくことである.

「知識中心」とは,断片的な知識が問題の表層的な面に注目した浅い理解にとどまるのに対し,根本的な原理や中核となる概念間の関連付けに注目し,学習方略なども含めて教えていくことを目的とすることである.

「評価中心」は,指導する前の事前の診断や最後の総括的な評価だけではなく,学習の過程において形成的に評価する機会を準備することで,教師と生徒の両者が,学習の向上を自分の目で捉えられる工夫をすることである.

「コミュニティ中心」は,学校や教室の中に,ともに学び合う仲間意識や規範が成立するように,互いの知識を説明や質問を介して共有したり,相互にヒントを与え協力して問題解決に取り組むなどの活動を授業の中に積極的に入れていくことである.

深い理解を促すには,断片的な知識ではなく,すでに持っている知識と学んでいる知識間がきちんと統合されていく授業が求められている.この知識統合のためには,

  1. 学習者が現在持っている知識や考えを引き出す,
  2. 新しい知識や考えが与えられる,
  3. 自分の知識や考えを,規準を持って自分で評価する,
  4. 自分の持っている知識や考えを分類したり整理する

という活動の過程が,カリキュラム,単元,授業に組み込まれていることが必要となる.

教師の授業に対する信念と行動

教師は,自らの被教育経験や教職経験を通して学習に対する信念を暗黙のうちに形成してきている.信念は「~すべき,~するとよい」というように知識や行動を方向付ける心理学的に価値づけられた認識である.必ずしも常に一貫しているわけではなく,あることについて何がよい,正しいと思っているかの認識である.

子どもの自立性を支援すべきと考えている信念が強い教師と弱い教師では,算数授業で自立性支援高群の教師は発展的な開かれた質問が多く,児童同士間でのやり取りが高いのに対し,低群の教師は教師が主導権を握ることが多く,教師が質問し子どもが答えるパタンが多いことが具体的に示されている.

課題への認知的興味・意欲と深い関与

新奇な情報や複雑な情報が多すぎず複雑すぎず,単調すぎない,ほどよい複雑さと適切な量と質の情報に対して,学習者は興味を持つ.一般的には,既有知識と情報の間にずれや葛藤,矛盾が生じたときに意外性や驚きとしての不均衡が生じ,その曖昧さ,不確実さ,複雑さの不均衡を解消しようとして新たな情報を探索するようになる.興味にはその場で生じる「状況的な興味」と,分野や内容には私は興味がある,得意であるということから継続的にもたらされる「個人的興味」がある.

学校での活動や授業での学習に興味や意欲を持ち,集中し没頭する機会や時間を長く保証することが学業成果や学校での行動に影響を与えることが示されてきている.参加しているという「行動的関与」,教師や仲間,課題と自分が繋がっているという感覚や好き嫌いのような「感情的な関与」,そして複雑な考え方を理解し,難しい技能を取得しようと注意を払い熟慮しようとする「認知的関与」の強さと持続期間が,学習行動を変え,教育の質に影響を及ぼす.授業の導入において興味や意欲を歓喜すればよいということではなく,授業や単元において深く関与し続ける課題や過程の質が問われているのである.

学習者が形成する学習観と学習方略

学習動機には,功利的に捉えるか,内容自体に関心があるのかという次元があり,後者の内容関与的動機には充実思考,訓練思考,実用思考といった内容が含まれ相互に関連性があることが示されている.

学習効果を高めるために意図的にとられる行動を,心理学では「学習方略」と呼ぶ.学習方略には,大きく分けるならば,ある情報をより深く認知処理するために学習の対象への関わりのために使用する方略,自己の理解過程を対象にしてモニタリングや評価修正のために使用する方略,また時間や環境,他者など自分を取り巻く環境の側への関わりに使用する方略に分けることができる.

知識の学習

知識は,宣言的知識と手続き的知識の2種類に大別することができる.宣言的知識とは,例えば「地球は丸い」「平行四辺形とは向かい合う二辺が各々平行な四角形である」というように,言語で事実が記述でき,その各々の正誤が判断できる知識である.手続き的知識は「分数の割り算のやり方」「跳び箱の跳び方」など,「もし~ならば~せよ」というようなIf-thenルールと呼ばれる形で手順を記述できるが,必ずしも全て言語化できるとは限らず,長期的反復練習することで習得できる場合が多い知識である.前者は「わかる」知識,後者は「できる」知識といえる.

断片的内容や手順の記憶だけではなく,原理や概念枠組みを深く理解することが,知識をいつでもどこでも使えるよう活性化し,転移を促す.一方,一夜漬けではすぐに忘れたり,利用できなくなったりすることが多い.学んだつもりの知識が,学習法が不適切であったために失われることは,知識の剥落現象と呼ばれる.カリキュラムをこなして教えたつもりでも,生徒側が知識をネットワーク化して構成し定着していなければ,生きた知識となって働かない.したがって,生徒が知識を自ら活用して問題解決や原理を発見する学習活動などが求められるのである.精選された内容を深く関連付けて理解していく活動が重要である.

問題解決の過程

問題解決とは,解き方のわからない問題を解く過程を指す.心理学では一般的に,「生活体が,何らかの目標を有しているが,その目標に到達しようとする試みが直接的にはうまくいかないという問題場面において,目標に到達するための手段・方法を見出すこと」を問題解決という.

よく定義された問題の解決方法には,アルゴリズムとヒューリスティックスがある.アルゴリズムとは,問題解決のための一連の規則的な手続きのことである.ヒューリスティックスとは,ある問題を解決する際に,必ず解決できるとは限らないが,うまくいけば解決に要する時間や手続きを減少させることができるような方法である.

問題解決の過程について,ブランスフォードらはIDEALという考え方を示している.ブランスフォードらの狙いは,専門家が持つような問題解決への分析的な視点を一般の人ももてるようにし,自らの問題解決過程を客観的に把握しコントロールする力を付けさせることにあった.

  • Identifying problems
  • Defining problems
  • Exploring alternative approaches
  • Acting on a plan
  • Looking at the effects and learn

教室

「教室」という言葉は,単なる物理的空間以上の意味を込めて用いられる.1つには,教科内容を学ぶ知的な場である.2つには,複数の人間が社会的関係を形成し維持する場である.3つには,制度的な場である.

学力としてのリテラシー

「3R’s 読み書き算術」と言われるように,学校は子供たちにリテラシーを教育する機能を担っている.ユネスコの学習権利宣言によれば「学習権とは,読み書きの権利であり,問い続け,深く考える権利であり,想像し,創造する権利であり,自分自身の世界を読み取り,歴史をつづる権利であり,あらゆる教育の手立てを得る権利であり,個人的・集団的力量を発達させる権利である」と述べられている.そして「リテラシーとは読み書き能力だけではなく,大人になって経済生活に十全に参加するための職業的,技術的な知識を含む概念」と定義されている.OECDのPISAでは,数学的リテラシーという言葉を「数学が世界で果たす役割を見つけ,理解し,現在および将来の個人の生活,職業生活,友人や家族や親族との社会生活,建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において,確実な数学的根拠に基づき判断を行い,数学に携わる能力」と定義している.

思考を促す教室コミュニケーション

子供の思考を促すという視点から教室談話を見ると,いくつかの段階に分けることができる.第一は,教師が発問し,一人の生徒が答える,その回答の正否に焦点があてられて,教師が説明や質問をし,授業を進めるというT-C連鎖によって形成される談話である.第二は,指名した生徒の答えの背景にある思考や解き方を教師が吟味して話すようなT-C談話である.第三は,生徒たちが発言を通して,できるだけ多様な考え方を相互に語り合い,教師はそれらを整理し,生徒が吟味できるよう組織化していく談話である.教師の支援には,子供たちの関係をつなぎ参加を促す「社会的な足場かけ」と,特定の教科内容,教材理解へとつなぐ「分析的な足場かけ」がある.

協働学習の機能と過程

「3人よれば文殊の智恵」という言葉があるように,複数の人で考えることの重要性は言われてきている.また競い合うより助け合うことが公教育としての学校教育では大事にされている.

複数の人間が相互作用を通して学び合うことを「協働学習」という.協働は,作業の均一な配分とか成員の均質性を前提とするのではなく,成員間の異質性,活動の多様性を前提とし,異質な他社との相互作用によって成立する活動のありようを指すのである.

協働学習の利点を心理的過程に即して考えるならば,第一には,説明や質問を行うことで自分の不明確な点が明らかになり,より深く理解できるようになる理解深化という点である.第二には,集団全体としてより豊かな知識ベースを持つことができるので,限られた時間内で思考が節約でき,アクセス可能,利用可能な知識が増える点である.第三には,相手の反応などの社会的手がかりによって,自己の認知過程や思考のモニタリングができる点である.そして第四には,やりとりをすることで参加への動機が高められ,同じ意見や活動を共有することによって,グループ意識が高まることなどがあげられる.

人間は,経験をもとに,経験を重ねながら,どのような状況でも用いることができる抽象的で一般化された知識であるスキーマを形成していく.多様な他者との相互作用を前提とした協働学習においては,複数の人間のスキーマに接することで,個人のスキーマが量的に増加するというだけではなく,経験の多様性に基づいて質的にも多様なスキーマの形成が期待できる.

授業における学習評価の目的

人間の評価活動には「価値判断としての評価」と「問題解決としての評価」の2つがあり,教師は「問題解決しての評価」を日常的に行っている.

学習評価をその実施時期や機能という点から分類すると,「診断的評価」「形成的評価」「総括的評価」の3つに分けることができる.これら3つの評価のうち,教育実践において重要だとされているのは,形成的評価である.OECDでは,世界各国における実践事例をもとに,形成的評価の6つの要素を提起している.

  1. 相互作用を促進する教室文化の確立とアセスメントツールの使用
  2. 学習ゴールの確立とそれらのゴールに向けたここの生徒の学力進歩の追跡
  3. 多様な生徒のニーズを満たす様々な指導方法の活用
  4. 生徒の理解を把握・予想することへの様々なアプローチの使用
  5. 生徒の学力達成状況へのフィードバックと確認されたニーズに応じて授業を合わせること
  6. 学習プロセスへの生徒の積極的な関与

これらの6項目からは,形成的評価のあり方として,学習者の多様な学びの姿をとらえ,個に応じた対応を進めていくこと,学習者も形成的評価のプロセスに参加すること,教師と学習者が評価プロセスを共有することを通して,反省的な学習の文化,評価の文化を教室に構築することが,示唆される.

形成的評価に基づく教育実践の改善に向けては,フィードバック機能がより重視される.指導者へのフィードバックでは,評価情報を,以降の授業やカリキュラム改善に生かすことが目指される.学習者へのフィードバックは,評価情報を学習者が自らの学習の改善に役立てることができるように示すことが目指される.学習者へのフィードバックは,教師が,学習者にとっての「思考の支援者」となることや「メタ認知的役割」を果たすことであるともいわれている.

授業を単位として行われる形成的評価は,授業中に,学習者が生成する発話や教室での相互作用を手がかりに,学習者の学習の状況や理解度を把握する.授業の過程は,いわば形成的評価の繰り返しである.

到達度評価

形成的評価をマクロサイクルで考える際には,指導と評価の一体化に加え,「目標と指導と評価の一体化」が目指されるべきである.到達度評価とは,評価者からは独立に,客観的な目標や到達基準をたて,学習者が「何」を「どの程度」達成したかを把握する評価方法である.

新しい学力観や到達度評価の導入によって,「評価規準(「のりじゅん」と読むことで,基準「もとじゅん」と区別する)」に基づいて評価を行うことが求められるようになっている.評価規準とは,教育の目標として,目指すべき学習の状況といった価値を含んだ内容である.評価規準は学校,学級ごとに設定するものである.単元や教科のねらいを踏まえながら,学習の到達度を適切に把握できることはもちろんのこと,指導と対応していること,学習者や学校の実態に則すること,教師の過重な負担にならないこと,学習者や保護者にも分かりやすいこと,に留意する必要がある.

「評価基準(もとじゅん)」は,評価規準で示された目標を,学習者がどの程度達成したかを量的な尺度によって把握し判断する目安となるものである.実際には,どのような状態であれば達成したかを具体的に判断するための分割点が設定される.

協働的活動における評価

協働的な学習活動の特徴を学習評価という点からみると,主として次のような特徴がある.

  1. 他者への説明の必要が生じることから,言語的やりとりのなかに学習者より高次な認知過程が顕在化する
  2. メンバー間で認知的葛藤が生じ,その調整や創造的課題解決の過程が示される
  3. 「読み書き」だけではなく口頭での説明や図表の提示など多様な様式によって認知過程を把握することが可能となる
  4. ソーシャルスキルや市民的資質,価値や態度,仕事への熱心さがより明らかになる
  5. 教師評価だけではなく,相互評価や自己評価の機会も増加し,その手だても,客観的テストに加え論述テストや観察,インタビュー,ソーシャルスキルの演じ

などにわたる.

パフォーマンス評価とポートフォリオ評価

「真正の評価」の代表的な評価にパフォーマンス評価とポートフォリオ評価がある.

パフォーマンスとは「自分の考え方や感じ方といった内面の精神状況を身振りや動作や絵画や言語などの媒体を通じて外面に表出すること,またはそのように表出されたもの」である.パフォーマンス評価は「ある特定の文脈のもとで,様々な知識や技能などを用いて行われる人のふるまいや作品を,直接的に評価する方法」でいえる.

ポートフォリオとは,学習の過程において学習者が制作した作品や集めた写真や記事,書きつづったメモや作文などあらゆる成果物の集積である.ポートフォリオを用いた評価とは,これらの中から学習者の達成や発達を示すものを選択し,その価値を仲間や教師とともに認め合うとともにその学習者への次なる働きかけやカリキュラムの改善に役立てるのである.

カリキュラム

「カリキュラム」という語にはいくつかの意味がある.とりわけ我が国においては.次の2つの意味で用いられることが多かった.1つには「公的な枠組み」である.2つには「教育計画」である.現実には,「公的枠組み」としての意味合いが強いため,教師主体の「教育計画」という意味は空洞化している.

「カリキュラム」という語は「学習経験の総体」と再定義されつつある.従来のカリキュラム観は.教師が教えた事柄が同一であることを前提としていた.しかし,現実の子どもの学習経験は,教師が予測し教えている事柄以上のものである.「学習経験の総体」とのカリキュラム観は子どもの学習経験の価値をより広い社会的文化的視野からとらえ直すことの必要性,そのことの文化的価値をあらためて問うことの必要性を提起する.

カリキュラムの水準

国家が編成するナショナルカリキュラムは,日本の場合「学習指導要領」である.地域カリキュラムは,地域の教育委員会などが主体となって作成される.当該学校の各学年各教科で策定された計画カリキュラムとしての学校カリキュラムに沿って授業を行うが,計画と実施が一致するとは限らず実施カリキュラムは計画カリキュラムを書き換えることとなりうる.教師が実施したカリキュラムを子どもがその通りに経験しているとは限らず子どもの側からの経験カリキュラムに沿って,指導や学習の成果を評価する必要がある.

授業のデザイン

教師の「ねがい」は,授業を通して子どもにどのような力をつけさせたいか,どのような子ども育ってほしいかといういわば,学習課題や教材に対する教師の教育的価値観である.授業の「目標」は,その授業で達成したい子どもの姿,学習の成果である.「学習者の実態」は,授業に参加する子どもの授業参加のあり方,学習経験,生活経験,発達段階,関係性などである.「教材の研究」は,授業における教師の仕事の中核の1つである.「教授方略」は,予想されうる様々な状況に対応するための基本方針を立てることである.「学習環境・条件」は,学習空間の構成の,教育メディアも含めた学習を支援するための人的物的資源である.

従来,授業に関する教師の仕事は,授業の計画を立て,授業を行い,そして評価するという作業に分けられるという見方が広く採られてきた.藤岡完治が述べているように,授業デザインという考え方は,授業が複雑性や曖昧性をその本質として有していることを前提としている.授業を行うという教師の仕事は,教師が予め立てた計画通りに子どもを操作し動かすことではない.それは授業前でも,授業中でも,授業後でも,不断に続けられる教師の専門職たる営みである.(注※この科目を受講し始めたのは今学期であり,あのエントリを書いたのは3月である.)

授業デザインと教師の専門性

授業の過程における教師の仕事を「学習環境デザイン」の4つの視点と関わらせながら「テーマを設定する」「コミュニケーションを組織する」「認識を共有する」という3点から検討する.

テーマを設定するために,「ねがい」と「目標」を明確化すること,子どもの事実から考えること,子どもや学校を取り巻く環境をふまえること,である.

教師が子どもと教材との橋渡しとなり,「学習者中心」の学習環境を構成することとともに「知識中心」の学習環境を構成することの必要性が生じる.しかし,このような学習環境の構成は事前に計画できるものではなく,教師には即興的対応が求められる.このように,教師や子ども一人ひとりが様々な認知的社会的な背景を持ち,様々なねがいや思いを教室に持ち込みその実現を果たそうとする.教室は様々な目標が網の目のように絡まり合うジレンマ状況であり,教師はそこでやりくりをしていくジレンママネージャである.

授業へのアプローチの多様性

授業の研究は,大きく2つに分けることができる.1つには,子どもの学習過程,学習集団としての教室における授業参加の規範,参加者間の関係性,コミュニケーションのありよう,などを具体的な教科学習の文脈において把握しようとするものである.2つには,授業や教材の開発と実践,分析と評価,改善と新たな実践といったデザインを具体的で固有名の学習者や教師を対象として実際に行うというものである.

この2つの研究の志向性を分けるものは,研究者自身がどのように対象に対する位置取りをするのかということである.心理学や教育学,社会学の理論を基盤として普遍理論の生成確立を志向するのか,対象となる授業の文脈に基づき,特定の範囲の文脈を共有する中でその特徴を説明する局所理論の生成を志向するのか,個別の実践や実践者の中に暗黙に働いている実践に密着した理論を見いだしていくのか,という違いである.

学習研究としての授業研究

学習を「経験の結果として生じる比較的永続的な行動の変化」とする行動主義の学習論の元では,条件付けや反復,結果の即時フィードバックが有効であるとみなされた.人間の知的行動を,情報処理モデルで説明し,学習を「既有知識を使いながら,新たな情報を取り入れ,頭の中に新たな知識の構造を作り出し,変化させていくこと」と捉える認知主義の学習論の元では,記憶,知識構築,試行,問題解決などの概念で人間の学習を説明した.

他者との相互作用における認知過程に焦点を当てた社会文化的アプローチでは,学習は「大人-子ども,子ども間の協同による,文化的道具に媒介された活動から生まれる」とされ,授業が行われている文脈や社会的,文化的,制度的,歴史的状況との関連で学習者や教師の行為をとらえることがめざされた.

デザイン実験

少数の教室での学習事例を丁寧に記述し,検討して,先行研究の知見から改善のデザインや教授プランを考え,実行し,評価を通してより一般化可能なデザイン原理を導き出す研究をデザイン実験という.学校を基盤としたカリキュラム開発を行い研究チームと学校とが連携したプロジェクトとして行われることが多い.手続きは次の通りである.

  1. 「どのような理解や技能を学習者に獲得して欲しいか」を定義する,ポリシーの確立の段階である.
  2. 授業設計の前に,学習者が学ぶべきことを想定して,教授者が一貫して持つべき教育方針のようなものを明確に記述する.
  3. 次に検討する「要素技術」とは,学習場面で実際に使用する教授法,教材,活動などの様々な手段のことである.
  4. 学習活動の記録をデータとして収集し,「計画段階で選択した要素技術が適切に機能したか」「それらの支援に基づいて学習者はどこまで理解のレベルを向上させたか」あるいは「期待される認知活動に従事したか」を明らかにする.
  5. 形成的評価や総括的評価を活用して,「さらによくるすところ」「うまく機能しなかったところ」を明らかにして,修正してさらに実践を続けるのである.

教師の知識の特徴

授業を行うには,まず教科や教材に対する知識が必要である.しかしそれだけでは授業はできない.その教材をどのように教えたら学習者にとってわかりやすいか,学習指導の方法に関する知識や,学習者のわかり方についての知識が必要となる.このような教師の知識をShulmanは「授業を想定した教材内容の知識」とよんでいる.

Grossmanは,授業を想定した教材内容の知識を構成するものとして次の3つをあげている.1つには「生徒の理解に関する知識」である.2つには「カリキュラムについての知識」である.3つには「授業方法に関する知識」である.教師は,これらの知識を総動員させて授業をデザインしていく.重要なのは,これらの知識が別々に存在するのではなく,教科や教材を教える目的についての概念に基づいた統合された複合的な知識になっているという点である.

教師の知識はまた「行為のなかの知」であるといわれる.教師の仕事は,不確かな個別事例の文脈に依存し,実践のなかに理を見出しながら状況と対話する「反省的実践家」である.反省的実践家が状況と対話する「行為のなかの省察」を支える知識が「行為のなかの知」であるというのである.

熟達者の特徴

ある特定の領域の専門知識や技能に秀でているものを熟達者という.熟達者の特徴は,第1に,優れた記憶能力があること,第2に,問題を解決する方略の選択や必要な情報を探し出す能力に長けていること,第3に,長い時間を掛けて積み上げられた結果として卓越した能力を示すこと,である.また,様々な職業における熟達研究の結果,様々な領域における熟達者に共通する特徴として,次の3点が挙げられるという.

  1. 遂行が早く正確である.
  2. 多くの事柄を,容易にかつ正確に記憶できる.
  3. ある分野の熟達者はその分野において卓越しているのであり,未経験の分野では同等の能力を発揮できない.

適応的熟達者としての教師

熟達のあり方は,領域により,あるいは人により異なるタイプをとることが明らかになっている.すなわち,1つには,問題解の手続きが定型化しており,それを1度習得すれば後はそれを確実に速く行うことが求められる仕事,あるいはそのような熟達者である.2つには,状況の変化に応じて問題解決の手続きを柔軟に変えていくことが求められる仕事,あるいはそのような熟達者である.前者は「定型的熟達者」,後者は「適応的熟達者」とよばれる.

Hatanoらは,適応的熟達に向けた動機づけ的基板として次の4点を指摘している.

  1. 絶えず新奇な問題に遭遇すること
  2. 対話的相互作用に従事すること
  3. 緊急な外的必要性から解放されていること
  4. 理解を重視する集団に所属していること

よく考えられた練習とメンタリング

よく考えられた練習であるためには,そこでの活動は「作業」や「遊び」と違って,以下のような要件を備えている必要がある.

  1. 指導者は,高度なレベルの行為とそれに結びつく練習を得るための最も良い方法についての知識を蓄積していくこと
  2. 個々人が,自分のおかれた状況についての重要なポイントに注目したり,自分の行為の結果についての知識を自分で得たり指導者からフィードバックしてもらったりして徐々に改善できるような経験を繰返しできること
  3. 改善すべき行為が何であるのかが明確で活動が構造化されていること
  4. 弱点を補強するための特定の課題が課され,行為は注意深くモニターされていること
  5. 個々人は,その実践によって目的とする行為が改善されることを自覚してその実践に取り組めること
  6. すぐに一時的な成果が得られるわけではなく,逆に指導者やコーチといった環境を整えることでコストがかかることを理解し,長期にわたる実践の結果を期待せねばならないこと

メンタリングは,社会活動としての非行少年の更正支援を指す場合もあれば,専門的職業人のキャリア発達支援などを指す場合もある.後者の場合は,上司や先輩,同僚などがメンターとなることが多い.メンタリングの活動としては,知識や技能,集団での振る舞い方などを直接的に説明する教育的活動,信頼関係を築いたりエンパワーメントする個人的支援,組織的活動の状況における支援,活動範囲の拡大やより中心的な存在になるための後援などが含まれる.

未来の学校教育へのシナリオ

授業が今後どのように変わっていくのかは,長期的視点に立ってみると,学校にどのような機能が期待され,国際的に,そして各国がいかなる教育政策を目指すかによって変わってくる.OECDでは,学校教育が将来どのように進展するかについて,6つのシナリオを示している.

  1. 強固な官僚的学校システム
  2. 市場モデルの拡大
  3. 社会の中核的センターとしての学校
  4. 学習組織の中心としての学校
  5. 学習者ネットワークとネットワーク社会
  6. 教員大脱出-溶解シナリオ

シナリオ4が示すように,学校が地域の学びのコミュニティの中核となって本来的な学校機能を果たすためには,「公的な信頼」が鍵となる.歴史的にみると,時代によって,誰が子どもの教育の責任を負うのか,その教育の目的は何であるのか,そしていかに教えられ評価され,何を学習に期待するのかという次元での変化がある.師弟制による学習の時代,学校から大学へという学習を考える時代,そして生涯にわたる学習を考える時代へと順に変わってきている.

発達心理学概論(’11)

今学期受講している5科目のうち,「発達心理学概論(’11)」を聴講し終えたので,簡単なまとめをしておく.緑科目は脇道トークが面白い.

発達の定義

形態・機能の増大および生殖能力の成熟への一方向の変化は「発達」と呼ばれ,生涯におけるそれ以降の変化を「老化」と呼んでいる.現代の発達心理学において,発達概念の最も包括的定義はレルナとフォードによるものといわれる.個人の発達とは「個人が持つ現在の特徴とその人がおかれている状況・文脈との相互交渉の流れを通して,その人が1つの統一体としての体制化と構造・機能的統一性が保たれていながら,個人の構造的および機能的特徴がより精緻になり,これらの特徴の幅が広がりになり,一連の比較的持久する変化を生じさせる増大と変換する諸過程」である.

ピアジェの認知発達理論

発達心理学の理論の中で最も知られているものの1つは,スイスの心理学者ピアジェの認知発達の理論と思われる.ピアジェによれば,子どもの認知的発達は子どもが環境との相互交渉を通して,生得的に持つ反射やシェマが同化と調節作用によって,シェマがさらに精緻,豊富になり個体が有能になる過程と捉えた.

ヒトの行動の特徴

われわれに最も近縁の種であるチンパンジーと比較して,われわれは他者の考えや意図を察することに長けている.では,なぜそのような行動特徴を持つのだろうか.この問いに対して2種類の答え方が可能である.1つは,われわれの脳や身体の構造にその理由を求めるものである.もう1つは,われわれの行動特徴やそれを可能にする脳や身体の構造が,ヒトという種がかつて進出した環境での生活に適応して進化したからというものである.

脳の成熟と経験の相互作用

脳を含めた身体の成熟のためには,子どもは環境から栄養分を摂取しなければならない.ある環境の中で,実際にそれぞれの器官が働くことで,それぞれの器官が成長,成熟するという側面も無視できない.

乳児の微笑は,新生児微笑と社会的微笑が区別されている.この2種類の微笑の違いは,それを引き起こす原因の違いにある.新生児微笑は,主に眠っているときによくみられる.新生児微笑は,外からの刺激で怒るのではなく,乳児の内的状態が微笑を引き起こすと考えられている.対して,社会的微笑は,乳児が覚醒しているとき,他者からの働き掛けに対する反応として起こる.新生児期に観察される微笑は,ほとんどが新生児微笑であり,社会的微笑が観察されるのは生後6~8週目頃になってからである.

行動の個人差と遺伝

外見や行動,能力には個人差がある.発達の早さにも個人差がある.環境論者は,指紋とか身長,顔立ちなどが遺伝子によって決まっていることは認めながら,われわれの知能や性格のような心理学的性質については,生育環境の違いとか文化の影響など,環境要因の重要性を主張する.対して遺伝論者は,知能や性格のような心理的性質についても,遺伝子が強い決定力を持つと主張する.

実際の心理的性質の個人差は,遺伝の効果の他に,きょうだいや双子に共通な経験をする環境(共有環境)の効果や双子でもお互いを似なくさせる,それぞれの子どもに特有な経験をする環境(非共有環境)の効果の和として理解される.性格に関しては,共有環境が思ったよりずっと小さいことが多い.外向性については,遺伝率と非共有環境の効果がそれぞれおよそ50%であり,共有環境の効果がほとんどない.逆に,例えば,宗教性では,共有環境の効果が大きい.

脳内のモノアミンオキシターゼという酵素の濃度を決めるMAOA遺伝子と反社会的問題行動の関係が明らかになっている.この酵素の濃度が低い子どもが,虐待とか育児放棄のようなストレスに満ちた経験をした場合に暴力的で反社会的問題行動を起こすことが分かった.仮に,この酵素の濃度が低い子どもでも,安定した環境で育った場合には,問題行動を取ることは非常に少ない.

強制注視

生後3,4ヶ月までの乳児には,いったん注視したらしばらく注視の対象から視線を離せない,いわゆる「強制注視」の傾向があるといわれている.乳児と養育者が同時に同じ対象に視線を向けることは共同注視と呼ばれている.乳児が養育者の視線の方向を捉えて養育者と共同注視できるようになるのは,1歳前後とされている.

ピアジェの発達段階理論

ピアジェは,発達の主体の論理操作構造が様々な側面の発達を規定すると考え,その構造の発達的変化の観点から認知の発達やパーソナリティの発達を考えようとした.論理操作の構造は,誕生以降,質的に異なる以下の4つの発達段階を辿る.

  1. 感覚・運動期(0-2歳)
  2. 前操作期(2-7歳)
  3. 具体的操作期(7-11歳)
  4. 形式的操作期(11歳以降)

心的表象が形成されることで,自分が以前に見た子どもの動作を真似たり,器に砂を入れてご飯を食べる振りをしたりすることができるようになる.具体的操作期になると,思考に論理性が伴うようになる.例えば,コップに入っている水を細長い容器に移し替えても量は変わらないことがわかるようになる.前操作期では,知覚的に目立つ属性によって量を判断していたのが,「何も加えたり減らしていない」「元に戻せば同じ」「高くなった分,細くなっている」のように,論理で判断ができるようになる.

ルール評価アプローチ

子どもの知識状態をより正確に測定できるとのことで提案されたのが,ルール評価アプローチである.ルール評価アプローチでは,まず子どもの発達とともに高次化するルールを想定し,反応のパターンから子どものルールを同定できる数種類の課題タイプを考案する.そして,各タイプについて数問の小問を実施し,それらに対する1人ひとりの反応パターンを分析することで,1人ひとりのルールを同定する.

マイクロジェネスティックアプローチ

漸進的な発達観のもとに,子どもの変化の最初と終わりの状態だけではなく,変化のプロセスを捉えることを目的として考案されたのが,マイクロジェネティックアプローチである.マイクロジェネティックアプローチは,子どもの中に生起しつつある変化を詳細に分析する方法である.その特質は以下の通りである.

  1. 変化の始まりから変化後の安定状態に至るまでの一定期間の観察を行うこと,
  2. 変化の速さが速いほど観察を高密度に行うこと,
  3. 観察では一試行毎に綿密に分析を行うこと.

ことばの発達

言語は,最初は他者との間でやり取りを行うコミュニケーションの手段(外言)であるが,発達とともに,それは自身の行為を制御・調整するための手段(内言)となる.

岡本は,具体的な事柄について,状況の文脈に頼りながら,一対一の直接会話の形で展開される一次的ことばと,現実場面を離れたところで,ことばだけの文脈に頼って,不特定多数の聞き手に対して伝達される二次的ことばとを区別した.一次的ことばは話し言葉であるのに対して,二次的ことばには話し言葉と書き言葉が含まれる.

概念の発達

ヴィゴツキーは,具体的な日常経験を通じて形成される生活概念と,体系的な科学的知識の教授によって形成される科学的概念とを区別している.生活的概念は,子どもの経験の中で体系性を欠いたまま発達するのに対して,科学的概念は,体系化されたことばの体系であり,共通性の関係によって一般化され階層化された構造を持つ.

学校教育における体系的な教授・学習を通じてではなく,日常経験を通じて結成されてきた概念は素朴概念と呼ばれている.1990年頃から,素朴概念を包括する試行の枠組みとして,各領域における素朴理論が提唱されるようになった.素朴理論の特質としては,領域内の知識の首尾一貫性,存在論的区別,因果的説明があげられている.

直接観察したり経験したりできない事象については,科学的概念に照らしてみると誤った素朴概念が形成されることも多い.特に,素朴物理学の領域では,力や電流といった直接観察できない事象について,日常経験を通じて強固な素朴概念が形成され,物理学を高校までに学習した大学生においてもそれが克服されていないことが指摘されてきている.

教育による発達の促進可能性

ブルーナーは「どの教科でも,知的性格をそのままに保って,発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる」という「教育課程というものを考える上で,大胆で,しかも本質的な仮説」を提起した.子どもの発達段階を考慮した教授介入によって理解が促進されるという点は重要な指摘であるが,どのような教科内容も「知的性格をそのままに保って,発達のどの段階のどの子どもにも」教えることが可能であるかどうかについては検討の余地があると考えられている.

学力や学習意欲の問題

小学生を対象とした算数・理科の学力に関する国際比較調査(TIMSS)では,日本の4年生は国際的に上位にある.しかしながら,学校で直接学習する計算や定型的な文章題のような手続き的知識やスキルに関する水準は高い一方で,概念的理解や因果的説明に関連する問題の正答率は国際平均レベルかそれ以下で,課題を残している.

このような日本の子どもの概念的理解や因果的説明の弱さは,1995年以降に国際教育到達度評価学会によって実施されたTIMSS調査や,OECDによって実施されたPISA調査など,小学生から高校生を対象とした国際比較調査においても,また2007年以降に国内で実施されている全国学力・学習状況調査においても一貫してみられる傾向である.

アタッチメントの発達

アタッチメントとは,養育者に対する子どもの接近傾向を意味する.子どもは,何らかの脅威を感じたとき,養育者に接近したり,接触を求めたりする傾向を強く持っている.そして,子どもが養育者に接近する行動や接触行動,あるいは接触を維持しようとする行動をアタッチメント行動と呼ぶ.乳児はいつでもアタッチメント対象に接近・接触できる態勢を維持しながら,環境探索行動をしているのである.このようなアタッチメント行動と環境探索を交互に繰り返している様子から,子どもがアタッチメント対象を環境探索のための安全基地にしているのだと考えることができる.

シュルーフらは,安全なアタッチメントを発達させた子どもたちが,安全でないアタッチメントを発達させた子どもたちより,就学前期や学童期,青年期において,集団生活や仲間との関係で有能であることを報告している.安全なアタッチメントを発達させた子どもたちは,他者との関係に前向きで,より有能な葛藤解決スキルを発達させており,ポジティブな自己概念を持っていることなどが示されている.

社会的認知

社会的認知とは,他者や周囲の出来事を観察して,その意味を解読・理解しようとする働きである.社会的規則は,個人がその社会の適切なメンバーになるためには知っておかなければならないものである.そうした社会的規則は,親や教師から禁止と要請という2つのチャンネルを通して示されることが多い.

社会的情報処理モデル

子どもたちが示す社会的な行動は,対人関係場面で直面する様々な問題について,その子どもなりの解決の結果として表われた反応である.ダッジらは,こうした社会的場面における問題解決についての情報処理モデルを提出した.そこには以下の5つのステップがある.

  1. 符号化過程
  2. 表象過程
  3. 反応探索過程
  4. 反応決定過程
  5. 実行過程

あるステップで上手く反応できなかったり,偏ったやり方で反応したりすると,社会的行動が上手く発揮できないとする考え方である.

社会的規則

チュリエルは「私たちが守らなければならない社会的規則の中には,他者の権利や福祉に関する道徳性と社会的相互作用を円滑にし,社会秩序を維持する社会的慣習の2つが存在し,それらを区別しなければならない」と述べた.道徳と慣習は,一般化可読性,規則随伴性,文脈性,規則可変性,権威依存性の5つの観点で区別され,それぞれ異なる発達過程をとる.

向社会性

アイゼンバーグは,思いやりとか愛他性といったポジティブな道徳性の研究が必要であると主張し,「他人あるいは他の人々の集団を助けようとしたり,こうした人々のためになることをしようとしたりする自発的な行動」のことを向社会的行動と呼んでいる.向社会的行動には,次の4つの特徴がある.

  1. その行動が他人または他の人々についての援助行動であること.
  2. 相手から外的な報酬を得ることを目的としないこと.
  3. そうした行動には,何らかの損失を伴うこと.
  4. 向社会的行動は,自発的になされること.

アイゼンバーグらは,向社会的行動の発見的モデルを提起している.このモデルは大きく3つのステップからなっている.

  1. 他者の要求への注目
  2. 動機づけと助力の意図
  3. 意図と行動のリンク

アイゼンバーグらは,向社会的行動を多くする子どもたちの特徴を次のように指摘している.

  1. 高次の視点取得能力と道徳的推論を示す傾向にある.
  2. 困窮や苦痛の状態にある他の人に情緒的に反応しやすい傾向がある.
  3. 社交的,主張的,社会的に有能である.
  4. 知的な子どもの方がいくぶん向社会的行動をする傾向がある.
  5. 男子と女子で異なったタイプの向社会的行動を好み,女子は他者を身体的・心理的に慰めることを,男子は道具的な援助を与えることを得意としている.

さらに,向社会的行動を示す子どもの親の特徴として,次のことを指摘している.

  1. 親は誘導的しつけを用いる傾向がある.
  2. 子どもが向社会的行動にたずさわる機会を提供する.
  3. 向社会的行動に価値をおく.
  4. 向社会的行動のモデルになる.
  5. 他者の視点を取る.
  6. 共感性や同情心を奨励する.

共感性

向社会性に関連する要因として,最も多く取り上げられるのが共感性である.フェッシュバックは共感性を「他人の情動的反応を知覚する際に,その他人と共有する情動的反応」と定義した.アイゼンバーグは共感性と同情を次のように区別している.共感性とは,相手の情動状態から生じ,その状態に伴ってこちら側に生じるような情動状態である.対して,同情とは相手の情動の状態についての情動反応であって,それが相手についてのあわれみや悲しみ,配慮の感情を作り上げる.同情は相手と同じ情動を感じることを意味しているわけではなく,相手あるいは相手の状態に対して感じる感情のことである.ホフマンは,共感性を「他人の感情との正確なマッチングではなく,自分自身のおかれた状況よりも他人のおかれた状況に適した感情的反応」と定期議した.

罪悪感

一般的には,法律上の違反,犯罪ばかりではなく,倫理的,道徳的,宗教的な規範に背いて過失を犯したり,過失を犯そうとしたときに自分を責める感情が罪悪感である.タンネィによれば,罪悪感は,後悔,良心の呵責,「悪いことをしてしまった」ことへの失望を意味している.他者を傷付けたときの適切な反応であり,行いを改めたり,謝ったり,あるいは罰を受けたりといった償いを通して解かれるのが,健全な罪悪感である.

ホフマンは,共感に基づいた罪悪感の理論を提案している.それは,自分自身に対する軽蔑といった苦痛を伴う感情と定義され,犠牲者に謝罪をしたり,償いをしたり,犠牲者とは異なる別の人々を援助したりといった向社会的行動を同期づけることが多いとしている.

パーソナリティ

それぞれの個人には,その人独自の行動様式があって,かなり一貫した持続的な行動傾向が認められる.そうした個人の行動のあり方を規定しているのが,パーソナリティである.パーソナリティとは,「その人らしさ」「人柄」のような個人差を表す言葉である.パーソナリティの語源は,ラテン語の「ペルソナ」に由来し,演劇などに用いられる仮面を意味していた.一方,キャラクターという言葉は,元々土地の境界に目印の石を置き,その石に所有者の名前などを刻み込むものであったという.

語源的には,パーソナリティは可変的で力動的,キャラクターは固定的で静態的である.パーソナリティは社会的役割などを含み,環境に対する適応機能の全体的特徴を問題にしている.一方,キャラクターは,比較的変わりにくい個人的特徴を問題にしている.

知的能力

パーソナリティの知的側面が知能である.キャッテルらは,流動性知能と結晶性知能の2つに分けた.流動性知能とは,記憶・推理・数計算・図形処理などの情報処理能力からなり,青年期の早い時期に能力のピークが訪れる.結晶性知能とは,言語理解や経験的評価などが含まれ,この能力のピークはずっと遅くである.

自我同一性

自我同一性は「自分が自分であること,自分らしさ」あるいは「私は私であって,私以外の他者とは異なる存在であること」が中核の概念である.エリクソンによれば,こうしたアイデンティティの感覚とは,「自分は他の誰とも違う私自身であり,私は1人しかいない」という斉一性の感覚と「今までの私もずっと私であり,今の私も,そしてこれからの私もずっと私であり続ける」という連続性の感覚からなっている.

アイデンティティの確立を最も求められるの青年期である.エリクソンは,青年期における自我と社会との相互関係によってもたらされる心理・社会的危機を通して,自覚的に揺るぎない自分を確立していけるのか,それとも自らを見失い混乱していくのか,が重要な問題だとしている.

キャラクター

キャラクターはギリシャ語の語源から「彫り込む」ことを意味しており,「消し去ることのできない一貫性と予測可能性の指標」である.ヘイらはキャラクターを「社会生活のジレンマや責任に対する個人の全般的なアプローチであり,他者の苦悩に対する情動的反応,向社会的スキルの獲得,社会的慣習の知識,個人的価値の構築によって支えられた社会的世界への応答性である」と定義している.そして,生涯にわたって発達するキャラクターの次元として,7つあげている.

  1. 他者の情動や要求に対する感受性
  2. 共有の資源の使用について協力的か競争的かといった指向性
  3. 乳幼児,高齢者,病人や助けを必要としている人に対する世話の用意
  4. 積極的な援助あるいは受身的な従順や服従を通して,他者の目標に合致するよう援助すること
  5. 他者との葛藤をうまく解決するような社会的問題解決スキル
  6. 真実を話すことや信頼性の規準の発達
  7. 社会的慣習と道徳的規範への気づきと忠実さ

バウムリンドは,キャラクターとは「自分の行為を計画し,その計画を実行し,様々な選択肢を検討して選び,他者のためにはある行為を控え,快適な習慣や態度,行動のルールを採用することによって自分自身の生活を組み立てる」ものであると述べている.

リコーナは,「キャラクターとは,徳のことである.善きキャラクターとは,よりよく徳を備えたキャラクターのことである」と述べた.そして「キャラクター教育とは,徳を意図的に教えることである」と述べ,従来の道徳教育への復帰尾を標榜した.さらに,リコーナ,シャップスとルイスは,すでに実施されているプログラムや教材,カリキュラムを評価する基準となる「キャラクター教育の11の原理」を提示している.

  1. 良いキャラクターの基礎としての中核的な倫理的価値を奨励する
  2. キャラクターは,考えること,感じること,行動することを含むものとして広く定義する
  3. キャラクターの発達に対して,包括的,意図的,前進的ならびに効果的なアプローチを用いる
  4. 思いやりのある学校共同体をつくる
  5. 生徒に道徳的な行為をする機会を提供する
  6. 学習する全てのものを尊重し,自分自身のキャラクターを伸ばし,成功を援助するような意義ある意欲的学習カリキュラムを含める
  7. 生徒自身のやる気を育むよう努力する
  8. 学校の教職員は,学習と道徳の共同体の一員となり,全ての教職員がキャラクター教育の責任を分かち合い,生徒の教育の指針となる同一の中核的価値に従って忠実な努力をする
  9. キャラクター教育をはじめるにあたって,道徳的なリーダーシップを共有し,長期的な支援を培う
  10. 親やコミュニティのメンバーを,キャラクター形成のパートナーとして迎える努力をする
  11. キャラクター教育者としての学校のキャラクターと学校の教職員の機能を評価し,生徒がどの程度良いキャラクターを体現しているかを評価する

英知

エリクソンは,老年期に発達する心の働きを英知と呼んだ.バルテスらは,英知を操作的に定義し,測定できるようにした.彼らの定義では,「英知」とは,複雑さや不確かさを含むような,人が生きていく上で出会う問題に対して,優れた洞察や判断を可能にしてくれる人生の基本的な実践で用いられる熟達した知識である.英知は,事実としての知識,手続き的知識,状況主義,相対主義,不確実性の受容の5つからなる.

ハイリスクの子どもたち

ワーナーらが行ったカウアイ島での調査研究では,母親の教育水準の低さ,生まれたとき慢性的な貧困であったこと,生まれてから2歳までの間不安定で葛藤的な家庭で育つこと,周産期にストレスを経験していること,生まれたときに器質的な問題を持っていること,2歳の発達に遅れが見られることなどがリスクになる.

しかし,ハイリスクの子どもたちの全てが学習や行動の問題を発達させたわけではなかった.ハイリスクの子どもたちの3分の1は,18歳までに深刻な学習や行動の問題を示さなかったのである.ワーナーらは,このような子どもたちを,傷つきにくい,レジリエントな子どもと呼んだ.ワーナーとスミスは,レジリエントな子どもたちと傷ついてしまった子どもたちの比較から,レジリエントな子どもが持つ特徴や条件を見つけ出した.それらは保護要因と呼ばれるが,子ども自身の特徴であったり,環境の特徴であったりする.子ども自身の保護要因は,周りの大人たちから社会的刺激や支援を引き出しやすいような行動特徴や発達の順調さ,周りの大人を困らせるような癖や問題を持たないことなどである.環境にある保護要因は,親密で安定した関係を持つことのできる人の存在とかそのような人々から十分な注意が払われていることなどである.

軽度発達障害と発達支援

軽度発達障害の子どもたちは,これまで,幼稚園や保育園,学校などで,変な子ども,困った子ども,教室を混乱させるような子どもと見なされてきたかもしれない.また,多くの子どもたちから「特異」に見える彼らの行動特徴のせいで,いじめの対象になることも少なくなかった.最近,軽度発達障害の子どもたちを対象とした特別支援教育が行われるようになってきている.特別支援教育は,文部科学省によれば「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善または克服するため,適切な指導および必要な支援を行うもの」と定義される.しかし,特別な配慮が必要な子どもたちは,障害をもつ子どもだけではない.「ふつう」と思われている子どもたちも,とても多様な認知や行動の特徴を持っている.発達的には,全ての子どもたちの個別のニーズにできるだけ応えられるような関わり方が大事だという発想への変換が必要だと考えられる.

心理学研究法(’08)

今学期受講している5科目のうち,「心理学研究法(’08)」を聴講し終えたので,簡単なまとめをしておく.オレ程度の小童が心理学技法を使って何かしようなんて思ったらダメだってことが分かった.

なぜ心理学では研究法が問題になるのか

「心理学を哲学から独立した科学にさせるべく,ヴントは1879年,ライプチヒ大学に初めて心理学実験室を創設した.」

自然科学の進歩を素人目で見ていても,見えないものを見えるようにする可視化技術の進歩がその科学の発展を支えてきたのがわかる.心理学では,「物のような実体ではないが,存在はしている」ことは確実な心を,どのようにとらえることによって,科学の対象にしているのであろうか.知能検査作成の心理学的研究では以下のようになる.

  1. 定義する
  2. 定義に従って,測定可能な行動をいくつか設定する
  3. データを集め,知能の構成概念としての妥当性を検証する

こうした構成概念的なアプローチは心理学研究の主流ではあるが,王道ではない.

なぜ心理学の研究法は多彩なのか

まず,研究者の心についての立場の多彩さがある.心をどのようなものとしてみるのかに様々な立場があるために,多彩な研究法が必要となるのである.一般に,成熟科学では,技法は研究法とは独立して存在している.心理学の場合は,科学としての歴史の短さと見えないものを科学するゆえの,研究技法と研究法の癒着という未熟さがまだある.

現代心理学を歴史的にみて,その時代思潮は,大きく4つに区切ることができる.1879年から1913年は心重視の時期である.ヴントは,心理学を直接経験の学と定義し,それを構築するために,心を直接,内観することから得られるデータを使おうと試みた.1913年から1954年は行動重視の時期である.行動主義が.厳密な自然科学たらんとして採用した刺激-反応(S-R)パラダイムは,実証科学としての心理学の地位を一気に高めた.1954年から1979年は再び,心重視の時期である.刺激と反応の関数関係を知ることに腐心することが科学であると信じ切っていた行動主義心理学とは違って,心のメカニズムの解明に研究の関心を向けたのが認知科学者であった.これは行動主知に対して,認知主義と呼ばれる.1979年以降は心も行動もの時期である.認知科学の中にも,心の世界だけを自閉的に研究しても,人の心は分からないとの認識が共有されるようになってきた.このような認識は状況論という新しい立場を生み出した.人を取り巻く状況との関係性にも目を向けて心を考えるようになってきたのである.

実験室実験法

心理学でいう実験は,原因と結果の対応関係を実証的に明らかにする科学的な方法として使われる.そして,因果関係とは,ふつう確率的あるいは統計的な因果関係のことを指す.

実験室実験では,厳密な条件統制をすればするほど因果関係の実証に成功しやすい.実験法の長所はこの点に尽きる.ところで,実証された実験場面は,現実の社会生活と大きくかけ離れがちになる.そこで,より現場に近い実験場面で実証できないかと工夫することになる.これは準実験とか現場実験という名の下で行われている.

心理的な変数の値を調べるには,主に次の3つのどれかの方法で測定することが多い.

  1. 心理尺度による測定
  2. 行動・反応に関する測定
  3. 生理的指標による測定

このような測定で大切なことは,測定具が故障していないかどうかや測定値が安定しているかどうか,本当にその測定具で測っているのかという点にある.前者を信頼性,後者を妥当性という.

実験法の基本的な考え方は次の通りである.単なる予想であって,まだ実証されていない因果関係を記述した言説を仮説という.この仮説を実証的に突き止めるには,原因側の独立変数と結果側の従属変数を決めて,その因果的な対応関係を押さえる.統計的検定では,条件間や群間に差があることは証明できない.そこで仮説を検証する倫理としては,まず説明したいことと反対の仮説を立てる.これを帰無仮説という.もし2群間に差があることを実証したいのであれば,2群の従属変数の得点間に差がないという帰無仮説を立てる.そして,帰無仮説が成立する確率がどのくらいであるかを,実験の結果から得られた2群の得点に関して,所与の計算式を用いて計算する.もし帰無仮説がごく低い確率でしか成立しないのであれば,帰無仮説とは反対の仮説つまり本来証明したかった仮説(対立仮説)を採択する.独立変数以外に規則的に影響を持つ変数を剰余変数という.実験法では,剰余変数の影響をできるだけ減らすこと,つまり系統誤差の排除がポイントになる.

独立変数と従属変数を,どのように組み合わせて実験を行えば確率的な因果関係が実証できるかが実験計画法である.実験計画法は,狭義には分散分析と呼ぶ統計技法を指していて,t検定は分散分析で使われるF検定の特殊な場合である.実験計画ではデータ収集に先だって,次のことを決める.

  1. 研究仮説の設定
  2. 独立変数,従属変数と測定方法,統制すべき剰余変数の特定
  3. 被験者の数の決定と母集団の特定
  4. 被験者の実験条件への割り付け
  5. 目的に合う統計処理の決定

モデル論的アプローチ

モデル論的アプローチと因果を探る実験研究との際立った違いは,後者の方が,独立変数と従属変数との関数関係を措定するのが一義的な狙いであるのに対して,モデル論的アプローチでは,刺激と反応を繋ぐ内部メカニズムのモデル化に焦点を当てているところである.このアプローチは,心理学にとっては斬新であるが,自然科学や理工学分野の研究ではごく一般的である.

精緻化の水準が高いモデルの例としては,シミュレーション・モデルがあり,ACT*がその典型例である.コネクショニズムは,例えば,文字認識の神経回路網に似た階層的なネットワーク・モデルをコンピュータ上に作り込むものである.貯蔵庫モデルは概念モデルとしては精緻化の水準が低い方である.これよりさらに低い水準にあるのが,多くの心理学の研究で多用される,いわゆる構成概念モデルである.

質問紙調査法

質問項目群を用意して,これを回答者に対して示し,その質問に対する回答を求めるデータ収集法が質問紙調査法である.質問項目に対する回答形式は,自由記述あるいは数量化の可能な選択肢の形式を用いる.質問紙調査法の特徴は,調査協力者自身に,その心と行動について答えてもらう点にある.短時間で一度に多量のデータを得るという利点を活かすには,自由記述法よりもむしろ,リッカート形式やSD法(意味判別法)といった回答形式を使うことが多い.

質問紙によって何を調べるかは,大きく2つに区別できる.社会調査では社会的なあるいは集団的な概念,心理尺度による調査では心理学的な概念を研究対象と定める.社会調査とは,一定の社会集団に生じる諸事象を定量的または定性的に認識するプロセスである.社会調査の定義の共通理解として,次の3つの条件がある.

  1. 社会または社会事象について
  2. 現地調査により
  3. 統計的推論のための資料を得ることを目的とした調査

代表的な社会調査としては,国勢調査,世論調査,市場調査,あるいは学術調査が知られる.

質問紙による調査研究の一般的な流れは次のようになる.

  1. 調査目的の設定
  2. 質問項目の作成
  3. 調査対象の決定
  4. 調査の実施とデータ収集
  5. 結果の統計処理
  6. 報告書の作成

質問紙調査法が多用される理由は,意識や意見を調べるには,倫理的にも現実的にも実験法や観察法が使えないことが多いからである.また,多くの関連要因間の相関関係を調べることもできる.一方で,因果関係を実証的に検出することは困難である.

心理尺度の構成法

尺度構成は,「定義に従って,測定可能な行動をいくつか設定する」,「データを集め,構成概念の妥当性を検証する」の段階で工夫された1つの方法論である.心理尺度を作るための手順は以下の通りである.

  1. コンセプトワーク;すでにある多数かつ多彩な心理学的構成概念との関連性や,定義に相応しい名称を与える作業が必要となる.さらに,その構成概念を想定することによって,どんな新たな知見が期待できるのかも明らかにしなければならない.
  2. 項目の収集;類似した構成概念を計測する質問を参考にしたり,定義を伝えて,素人心理学者から項目を収集したりする作業をする.定義全体をカバーする項目を収集できないと,はかろうとしているものをはかっていない(妥当性のない)尺度ができてしまう.
  3. 項目の精選;尺度を構成する質問項目群による質問紙調査を作成して,予備的な調査を行い,得られたデータから統計的なデータ解析を行うことで,項目の精選を行う.
  4. データによる尺度の吟味;尺度は研究の道具に過ぎない.それがどれくらいその後の研究の使用に耐えうるのかをきちんと査定しておく必要がある.尺度の信頼性は2つあり,何度はかっても同じ結果が得られるかと,項目群が同じ構成概念を測るに相応しい一次元性を保っているかどうかである.もう1つ尺度のが妥当性であり,項目群が仮定した構成概念をきちんと測っているかどうかである.

心理学で最もよく使われる心理尺度の使われ方には,大きく3つある.

  1. 個人の心にまつわる特性を査定する
  2. 群間の違いを査定する
  3. 構成概念間の関係のありさまを調べる

1の使われ方で1番なじみのあるのは,各種の心理検査である.前述の4段階までの手順を踏んで作成されたものは心理尺度と呼ばれるが,さらにもう1つの段階を踏んだものが「標準化された」心理検査と呼ばれる.ある個人の得点がその個人が属する集団の中でどの位置にあるかを査定できるように,集団の平均と標準偏差(ノルム)とを求めることである.

観察法

観察法は見るという機能を測定装置とした研究法である.観察は,単に対象を眺めることとは異なった見方と道具立てを必要とする.観察日記では,観察対象を繰返し詳細に見ることが要求される.観察においては,できるだけ観察者の主観を排して,対象の特徴を客観的に記述することが求められている.観察者は,単に対象を詳細に見て,克明かつ精確に記述するだけでなく,定規,温度計,秤などの道具を併用した測定や分類基準を作り,観察対象を分類し,数え上げるといった,外的基準に基づいた組織的な記述を行い,他の観察者が行っても同じ観察結果が得られるよう,観察記述に客観性をもたらす工夫をする.観察により発見されたパターンは,これを生み出しているメカニズムを探求する起点となり,ここから科学的な仮説の生成や説明が導かれることになる.

観察法は他の研究法と比較して制約が少ない.使用する道具も大がかりでなく,極端に言えば,記録のための紙と鉛筆だけで実施することが可能である.実験法では,あらかじめ操作すべき要因が特定されている必要がある.要因の特定には,その研究領域に関する十分な知見とそこから導かれる仮説が必要となる.新しい研究分野において,その知見の蓄積が十分でなく,検討すべき仮説を提出することができない場合,実験がそもそもできない.このような場合にも観察法は有効である.観察法によって,まず,対象の性質を把握し,十分な知見を得た上で仮説を生成し,実験を行うという手順を踏むことになる.

観察はあらゆる科学的研究の基盤になる重要な方法であるが,そこで得られた,行動のパターン間,行動のパターンと他の変数との関係は相関関係に過ぎない.

エスノメソドロジー

エスノメソドロジーでは,私たちの日常の秩序を作り上げている人々のやり方を「エスノメソッド」(ethno:人々の+method:方法)と呼び,この解明を目的としている.エスノメソッドは使用されているが,気づかれていない.これに接近するためには,独特の視点が必要となる.

ガーフィンケルは,エスノメソッドを洞察するために,期待違背実験と呼ばれる方法を考案している.ある実験では,学生に友人との日常会話の中で,相手が使うごく普通の言葉に対して逐一説明させ,その様子を記録された.この実験から,友人との会話中でごく当たり前の言葉を逐一説明したいという秩序の中で会話を行っていることが見えてくる.そして,ひとたびこの秩序が破棄されると,破棄したということが会話をしている当事者に観察され,修復作業が行われることになる.このようにして観察可能となる日常会話の秩序や修復作業にエスノメソッド解明への手掛りがある.

エスノメソドロジーではエスノメソッドを洞察するため,研究者は人々が行っている日常とは少しずれた位置に立ち,日常における秩序のほころびとその修復作業を観察する.そして,人々がその場で.どのようなエスノメソッドを使用して秩序を可能としているのかを明らかにしていく.

現場において研究者が直面する問題は,現場における研究者のポジションである.現場の人間になりきってしまえば,そこで使用されているエスノメソッドが見 えなくなる.他方で,現場で活動している人々の経験に接近するためには,その世界にできるだけ馴染む必要が出てくる.現場の内部にいながら部外者であるこ とを意識し,かつ,維持するバランス感覚が必要となる.

グラウンデッド・セオリー・アプローチ

佐藤は,質的データを分析する研究者が感じる2つの問題を指摘している.1つは量的データと比較した場合のデータの「きたなさ」であり,もう1つは研究者に都合の良いデータのみに着目してはいないかという「後味の悪さ」である.そこで,量的データを体系的に分析していく方法が必要となってくる.ただし,わざわざ現場に分け入ってデータを収集するのであるから,データが持つ豊かさを損なわないよう分析を行う必要がある.

グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,明確な手順に従って,データとの対話から理論的概念が構築されていく.この点が,ある意味では職人芸として質的データをまとめていくエスノグラフィーなどのアプローチとは異なる点である.

まず,得られたデータの一定のまとまりについて,研究者の研究関心に基づき概念のラベル付けが行われる.次に,この概念をいくつかのカテゴリーに統合していく.さらに,得られたカテゴリーを新たなデータに当てはめ,カテゴリーの検証と修正が加えられる.この検証と修正は,これ以上カテゴリーの修正の必要がないと判断されるまで繰り返され,最終的なカテゴリーがその領域の理論的概念として決定される.グラウンデッド・セオリー・アプローチの分析の特徴は,このようにカテゴリーの生成を新たに追加されるデータとの絶えざる比較,すなわちデータとの絶えざる対話の中で行っていく点にある.

教育的介入法

実験室において蓄積されてきた理論を単に現場に応用する研究,あるいは,研究の場を実験室から現場に移動させるといった研究ではなく,現場において生じている問題を発見し,分析し,これを実践者と協働して解決していくことを通して,実践者は問題の解決への一連の道具を,一方,研究者は心理学への新たな知見を得ようとする研究が取り組まれている.このような研究において採用されている手法を教育的介入法と呼ぶこととする.その特徴は,教育現場において生じている教育上の問題に対して,実践者と研究者とが協働して,長期間に渡って,授業のデザインと実践という介入を行い,問題の解決を図る中で,人間の心理に関する知見を得ようとする方法とまとめることができる.

協働思考プログラムでは,一連の授業を通して,協働作業における話し合いのグラウンド・ルールを作ることが重要な特徴となっている.話し合いのグラウンド・ルールは,話し合いのためのエスノメソッドと言い換えることもできるだろう.具体的な,探求型の話し合いのためのグラウンド・ルールは以下の通りである.

  1. 全ての関係した情報が共有されている
  2. グループは合意を目指す
  3. グループは決定に責任を持つ
  4. 理由が求められる
  5. 異論・反論が受け入れられる
  6. 決定の前に,他の可能性が議論される
  7. 全員が他のメンバーから発言を働きかけられる

協働思考プログラムは,教師と共に開発された年間を通して実施される10数回のレッスンから構成される.レッスンは大きく2種類に分けられ,1つは児童・生徒が自らの話し合いの作法への気づきと,グラウンド・ルールを作り上げるためのレッスンであり,もう1つは児童・生徒たちが自ら作り上げたルールに従って,協働思考ができるようになるための展開レッスンである.教育的介入法では,新しい内容や形態の授業が試みられることになる.そのため,教師との打合せや,毎回の授業でのフィードバックが重要となる.

アクションリサーチ

アクションリサーチは,人の望ましくない行動が引き起こす社会問題を解決するために考案された心理学の研究法である.アクションリサーチは,現場を一時的に利用する野外実験でもなく,実験室で検証された理論を現場に応用するだけでもない.研究者,行政,NGOなどが,チェンジエージェントつまり働きかけの主体として,現場における個人や集団の行動を規定する要因の理解に基づいて,その場で利用可能なものを活用して,望ましい方向への行動変化を目指している.

事例介入研究

個別または少数の事例について,各事例の個別性を尊重しつつ,その個性を追求する方法が事例研究法である.オールポートの分類によれば,心理学研究法には,法則定立的な(nomothetic)研究と,個性記述的な(idiographic)研究の2つがあるとされていきた.実験心理学やその他の基礎心理学の各領域では,人間心理の一般性や法則性を明らかにすることがその目的である.そのため,研究は,一般に仮説演繹法による,仮説生成-検証過程を通して行われる.それに対して,個性記述的研究は,臨床心理学や心理臨床に学問的な基盤を与える基本的な研究スタイルであり,そのほとんどは事例研究法を用いて行われている.

事例研究法が心理学の研究法として意味を持つためには,個別事例を具体的に研究することだけではなく,そこから一般性や法則性を導き出すことが必要となる.多くの事例研究では質的な記述を行うので,このデータの収集と記述には,フィールド・ワークや,グラウンデッド・セオリー・アプローチなど,最近盛んになってきているいわゆる「質的研究」の方法論が有用となる.ただし,一般的なフィールド・ワークでは,研究者はその対象とするフィールドに参加し,参加観察を行う.それに対して,臨床心理学的研究では,研究者は心理臨床家として,対象者との関係性の中で,対象者に対して,積極的に働きかけることで,対象者の状況を改善しようとする点で異なる.

心理検査法

心理検査は,人間の行動をできる限り客観的に測定することを目的とした,個人差をアセスメントする方法である.検査そのものについての研究といえば,検査の作成や,その改訂の際に行われる標準化の手続きがあげられる.知能検査や質問紙法パーソナリティ検査のほとんどは,標準化を経て作成されており,その意味で,標準検査と呼ばれている.標準検査では,作成された客観的な基準によって,数量的な方法で個人間の比較が行われる.その結果は,精神年齢(MA)や知能指数(IQ),標準得点などの規準に従って換算された数値で表される.事例介入研究では,心理検査を用いたアセスメント所見と日常行動等から得られる対象者の心理・行動上の特徴とを照らし合わせ,対象者の特徴である可能性の高い情報を確認して,それらを元に介入を行うという形で心理検査が用いられている.

投影法の検査では,標準検査のように,明確に構造化された項目や課題ではなく,インク・ブロットのようなより構造度が低く,多義的な刺激や課題を与え,それに対して自由な反応を求める.対象者に固有な,それぞれの反応を分析することによって,心の深層や無意識のレベルまで含めて,パーソナリティを捉えられるというのが投影法検査のロジックである.

対象者の悩みや心理・行動上の問題,障害については,その主訴・問題点を中心として,心理アセスメントを行うが,その場合,重要なことが4つある.

  1. 心理検査を正しく実施することであり,これは正しい測定結果を得るための前提条件である.
  2. 検査結果の解釈においては,関連する心理学の専門知識や,その心理検査の立脚する理論についての理解が必要である.
  3. アセスメント結果に基づいて,対象への支援や介入を考えるとき,対象者自身の長所や健康な部分を活用することが重要である.
  4. 対象者への倫理的配慮を忘れてはならない.

生理心理学的研究法

心の働きを観察可能な脳神経の機能との関係で明らかにしようとするのが,生理心理学的研究法である.この研究法は,多様な心理学の領域の中でも最も強く自然科学的な研究法の影響を受けており,上位の機能を下位の要素によって説明しようとする還元主義的な傾向が強い.

脳損傷法は,脳の特定の領域を損傷したときに,特定の心的機能に障害が生じるか否かを調べ,もし障害が生じるならば「その領域がその機能に関係している」と結論づけることを可能にする研究法である.熱損傷法や神経毒損傷法では,これらの処置を受けた神経細胞は死んでしまうため,再度その領域が当該の行動と関係するか否かを確認しようと考えても実行することは不可能である.この問題を解決するのが,一時的に特定部位の活動を停止させる低温や薬物投与を用いる可逆的損傷法である.

神経活動の記録法は,行動中の神経活動あるいはそれに付随する生理的な活動の記録を元に脳と心の関係を明らかにする方法であり,ミクロの記録法とマクロの記録法がある.ミクロの記録法では,個々の神経細胞の活動を記録し,ある特定の行動との対応関係を見つけ出すことによって,特定の心理的機能に関わる個々の神経細胞を明らかにすることができる.マクロの記録法では,大きな電極をいくつも頭蓋に貼り付け,それぞれの電極の周囲の何万という神経細胞の電気的活動の総和を記録する.

脳の刺激法には電気的刺激法と化学的刺激法がある.電気的刺激法とは,脳のある領域に微弱な電流を流すことによって,実際に脳が活動しているときと同じように活動させる方法である.化学的刺激法は,薬物や化学物質を注入し,行動に与える効果を調べる方法である.

比較心理学的方法

比較心理学は動物の行動の発達,獲得,変容などを研究する心理学の領域を指し,ほぼ動物心理学と同義に使われてきた.研究の方法には,自然場面における動物の行動や生態を観察する自然的観察法や厳格に実験条件を統制した条件下での行動を測定する実験的観察法などがある.

心理学が厳密な実験科学を目指すにつれて,経験や刺激などの実験条件を厳密に統制することが必要となる.ネズミの過去経験は誕生の時から正確に把握することができるため,実験による訓練の効果だけを取り出すことができる.脳に作用すると考えられる化学物質の効果を調べるような場合,実際にその物質を投与してその効果を調べることが欠かせない.このような物質の効果は,まず,人と同じほ乳類に属するマウスやラットなどで調べられることが多い.また,脳のある特定の部位の機能を調べる基本的な方法である脳の損傷実験も,人では不可能であり,動物実験として実施されてきた.モーガンは,動物の行動の説明については,「低次の身体能力で説明できる場合,高次の心的能力で解釈してはならない」というモーガンの公準を提唱した.

平成18年に文部科学省が,研究機関において動物実験を行う場合の基本的な指針を定め,これに基づいて実験を実施することを求めた.前文の冒頭において「地球上の生物の生命活動を科学的に理解することは,人類の福祉,環境の保全と再生などの多くの課題の解決にとってきわめて重要であり,動物実験などはそのために必要な,やむを得ない手段であるが,動物愛護の観点から,適正に行わなければならない.」と述べている.この主旨を受けて,できる限り動物に苦痛を与えない方法を用いる,動物に変わり得るものがあればできる限りそれを用いる,目的達成が可能な範囲でできる限りの動物の数を少なくするという,動物実験に関する3つの理念に基づいて実験を実施することを求めている.

理論負荷データと理論探索データ

科学的なデータというからには,その収集には,強弱こそあれ,理論によるガイドがある.そのガイドが強い場合が,検証である.理論のガイドが弱いデータ収集研究は,ぼんやりとしている理論をデータを見て良さそうなものに絞り,理論をさらにより精選していき,時には新しい理論を発見するようなタイプの研究で採用されている.

定性的データと定量的データ

観察研究でよく使われるカテゴリー分けをして,それぞれのカテゴリーに属するものを数え上げるのは,カテゴリー分けが定性的,数え上げられたデータは定量的データとなる.定性的データは,名義尺度の水準での測定になる.定量的データは,数字で表示され,相対的な順位を付ける水準(序数尺度),間隔を問題にする水準(間隔尺度),絶対0点がある水準(比率尺度)の3水準で測定される.

なぜ心の研究に統計が必要なのか

定量的なデータには必ずちらばりがある.そのためによくやるのは,度数分布などのグラフ化である.さらに,そのちらばり具合を適当な数値指標で表現することができれば便利である.例えば,度数分布なら,代表的な値がどの辺りかを平均値や中央値によって示し,さらに代表値の周りにどれくらいデータが散らばっているかを散布度の指標である分散や標準偏差で示すことがよく行われる.

心理学では,データのちらばりを確率的なものと「みなす」.ある生徒の試験の成績が60点だったときに,それはたまたまそうであっただけであって,もしかすると50点だったかもしれないし,80点だったかもしれないと考える.別の言い方をすれば,1個のデータそのものには意味がなく,データ全体としての意味を考える.

平成23年度第2学期の成績

成績がでるらしい情報をキャッチしたので,スタンバっておきました.裏技でチェックした通り,問題なく単位が取れました.そして激むずだった,認知科学の展開は@を獲得しました!やほーい!来学期もがんばるぞ!えいえいおー!

Home > タグ > 放送大学

アフィリエイト

Return to page top