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認定心理士を取得するための道

放送大学認定心理士を取得するための試みです.平成24年度第2学期の結果をもって,修得単位が揃ったので,申請準備を始めました.

申請書類

申請にあたっては,放送大学の星先生のページをよく読んで,放送大学の認定心理士資格取得の手引きをよく読んで,さらに認定心理士の申請書類を手に入れましょう.主に問題になるのは様式3 心理学関係科目修得単位表です.資格取得の手引きを読みながら準備しましょう.私はAcrobatを使って以下のように作成しました.利用してもらって構いませんが,サポートはしません.

この書類は指導教員の署名を頂くために,単位取得を確認した2月16日に大学へ郵送しました.

それからb領域とc領域のシラバスが必要になるので,放送科目はここから手に入れましょう.面接授業はここから手に入るかもしれません.手に入らない場合は,窓口に相談しましょう.

3月10日に返送されてきました.修正は軽微で,g領域がf領域にはみ出しているので,g領域であることを太線などで明確に示しなさいとのこと.それから,齋藤高雅先生の漢字を間違えていたので修正しました.上記の様式3は修正済みです.

すぐに,審査料1万円を払込,成績証明書を取得しに行ったところ,休みでした・・・.仕方がないので,翌3月12日に成績・単位修得証明書を取得し,日本心理学会に送りました.3月14日に申請書類受領書が届きました.同封の葉書はこれに使われるのか・・・.審査結果はどうするんだろう?

4月13日に行われた認定委員会の審査結果が4月20日に以下の通り通知されました.

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翌21日に認定料3万円を振り込みました.早くこいこい認定証♪

5月3日に宅急便にて認定証が届きました.これにて,認定心理士を取得する活動は終わります.

修得単位

全体で36単位以上が必要.

基礎科目

a,b,c各領域から4単位以上(c領域は3単位以上),かつ基礎科目全体で12単位以上が必要.

a領域

  • 2単位 心理学概論(’12)(平成24年度第2学期)
  • 2単位 教育心理学概論(’09)(平成24年度第2学期)
  • 1単位 心理学史(’10)(平成24年度第1学期)

b領域

  • 2単位 心理学研究法(’08)(平成24年度第1学期)
  • 2単位 心理統計法(’11)(平成24年度第2学期)

c領域

  • 1単位 心理学実験1(平成24年度第1学期)
  • 1単位 心理学実験2(平成23年度第2学期)
  • 1単位 心理学実験3(平成24年度第1学期)

選択領域

5領域から合計16単位以上.5領域中3領域以上から単位修得すること.1つの領域からは4単位以上を修得し,そのうち最低2単位は基本主題科目(2単位)でなくてはならない.

d領域

  • 2単位 記憶の心理学(’08)(平成23年度第1学期)
  • 2単位 認知科学の展開(’08)(平成23年度第2学期)

e領域

  • なし

f領域

  • 2単位 授業研究と学習過程(’10)(平成24年度第1学期)
  • 2単位 発達心理学概論(’11)(平成24年度第1学期)

g領域

  • 2単位 保育カウンセリング(’08)(平成24年度第1学期)
  • 2単位 心の健康と病理(’08)(平成23年度第2学期)
  • 2単位 心理カウンセリング序説(’09)(平成22年度第1学期)
  • 2単位 思春期・青年期の心理臨床(’09)(平成23年度第1学期)
  • 2単位 スクールカウンセリング(’10)(平成22年度第1学期)
  • 2単位 心理臨床とイメージ(’10)(平成23年度第1学期)

h領域

  • 2単位 交通心理学(’12)(平成24年度第2学期)

その他 i領域

  • 2単位 こころとからだ(’07)(平成23年度第2学期)

平成24年度第2学期の成績

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今学期受講している科目が合格すると,いよいよ認定心理士の申請が可能になるという正念場でした.結果は心理学概論を除く3科目が@でした.これで無事に認定心理士の申請に向けて動き出すことができるようになりました.放送大学での3つの目標のうち2つ目が達成できそうです.

残り9単位で卒業というところまで来て,過去の実績でいけば次学期で卒業も狙えますが,新学期はバタバタするので,安全策として2科目のみの受講に絞ってみました.来年度中には卒業するぞ!えいえいおー!

平成24年度第2学期単位認定試験

事後報告ですが,単位認定試験を受けてきました.今学期は以下4科目を受験しました.

  • 心理学概論(’12)
  • 交通心理学(’12)
  • 教育心理学概論(’09)
  • 心理統計法(’11)

今期は緑科目2つとオレンジ科目2つです.バランス良いです.しかも,緑科目が持込不可で,オレンジ科目が持込可というわかりやすい状況です.

どの科目も概ね問題はなかったんですが,持込可の科目はちょっとどうかと思いました.交通心理学は通信指導・自習型問題と全く同じ問題が出題されていました.持込可の試験なんですから,そんな出題は意味がないですよね.間違い探しじゃあるまいし.心理統計法は検定式を用いて計算する問題が出題されるのですが,その検定式が問題中に書かれていました.これでは持込可にしなくても解けてしまうので,持込可の試験である必要性がわかりません.

というように,ちょっとどうかと思う試験でした.十分に合格点をとっていると思うので,認定心理士が申請できるようになるはずです.卒業まではあと9単位かな?頑張れば平成25年度第1学期で卒業できそうですが,ここは焦らずじっくりと2学期での卒業を目指します.あと一息です.がんばる!

修論発表前に気をつけるべきこと

12月になると師走と言われるように,学内がワタワタしはじめます.年度末に近づくということは,卒論や修論が佳境を迎えることを暗示しています.この時期になると,卒研発表会やら修論発表会やらで,発表練習する機会も増えてくると思います.そこで,そういった学内での研究発表に向けたエントリを書いてみたいと思います.

過去にも似たようなエントリを何度か書いています.

今回は修論発表前に気をつけるべきことを書いていきます.想定対象読者は大学院修士(博士前期)生です.個人的には,修論発表会はもっと厳粛に行われるべきだと思います.

修士生が気をつけるべきこと

学位審査であることを忘れないで下さい

修論発表会はいつものゼミの延長線上や単なるイベントのように感じるかもしれませんが,歴とした学位審査です.修士という学位を授与するに相応しいかどうかを審査する場です.それは就職活動における最終面接などと同義です.ですから,そのような修論発表会に,どのような服装で挑むのか,どのような立ち居振る舞いをしなくてはならないのか,なんて説明するまでもありませんよね.

発表を聞いていると「先ほど○○くんが説明したように」などという発言があったりします.これはおかしなことです.都合上,研究室ごとに発表がかたまっていたりすると思いますが,それと発表は独立です.先述したとおり,修論発表会は学位審査ですから,修士の学位に相応しいかどうかを審査します.それは一人ひとり審査します.ですから,前後の発表とは独立に自分の発表を行ってください.すでに誰かが言ったことでも,自分の言葉で説明してください.審査対象はあなた自身です.

発表時間は守って下さい

発表時間は守ってください.審査をする都合上,プログラムを編成して順番に発表を行っていますが,審査される側は独立です.ですから,与えられた時間内で完結してください.すごい研究をしていて発表時間が短かったとしても,その短い時間で自分の研究成果を発表することができるかどうかを審査しています.就活で「自己PR(200文字)」と書かれているのに2000文字書く人はいませんよね?そういうことです.

学会発表と同じ発表をしないで下さい

すでに学会発表をしていたり,成果をまとめてこれから発表する準備をしていたりすると思いますが,学会発表と修論発表会は聴講者が違いますので,同じ発表をしないでください.学会はその分野の専門家が聴講者でしょうから,専門的な話題に終始しても問題ないでしょう.しかしながら,修論発表会では専門が近いとはいえ,学会発表の聴講者ほど専門に近くはありません.ご存じのように,発表は自分がしゃべりたいことをしゃべるのではなく,聴講者が聞きたいと思っていることをしゃべるものです.ですから,聴講者に合わせて発表内容は変えてください.時間調整さえすればいいというものではありません.

略語は定義してから使って下さい

前項と重複しますが,修論発表会の聴講者は非専門だと思ってください.自分の研究分野では一般的に通用する略語でも,通じないと思ってください.たとえば,SN比なんて言葉も厳しいかもしれません.「注目する信号とそれに含まれるノイズの比をSN比と呼び,この数値が高いほど性能がよいことを示します」のように説明してください.こういう基礎的な事柄を自分の言葉でしっかりと説明できるか否かは,修士としての資質に関わると思います.

レーザーポインタの使い方に気をつけて下さい

通常のゼミでは使う機会が少ないからか,レーザーポインタの使い方を知らない人が多いように思います.レーザーポインタは指し棒と同じように使ってください.注目すべきところを指し示す道具です.ですから,レーザーポインタを振り回さないでください.注目すべきところを指し示す道具なのに,そのポインタが目まぐるしくブンブン飛び回っていると,それだけで聞く気がなくなってしまいます.人間は動く物体を追いかける性質があります.そのため,レーザーポインタがあちこち飛び回ると,人間がそれを追っかけてしまい,集中して発表を聞くことができなくなります.道具は効果的に使ってください.わからなければ指導教員に教えを請いましょう.

教員が気をつけるべきこと

上記について指導して下さい

上記に示した修士生が気をつけるべきことについて指導して下さい.修士生ともなればもう大人ですから,放っておいても成長すると思いますが,それは研究室での指導の成果ではありません.ちゃんと指導して,研究室卒業生として相応しい優秀な修士生を輩出してください.

フォローは控えて下さい

質疑応答などの場面で,指導教員がフォローに入ることがありますが,控えてください.むしろ,やめてください.先述したように,修論発表会は学位審査会です.学位審査の場において,フォローを入れるということは,その修士生が「審査対象として相応しくない」と言っているようなものです.フォローすべきではないことを自覚してください.そして,自分の指導がまずかったと末代まで後悔して懺悔してください.もう遅いのです.フォローすべきような状況になったのであるならば,指導教員ではない第三者が行うべきです.「まぁそういうものの見方もあると思いますが,あなたの研究目的から考えると,××が△△ということなのですよね?」などと誰かが言えばよいのです.

拍手を要求しないで下さい

発表が終わった後に「ではこれで○○くんの発表を終わりにしたいと思います.拍手をお願いします」などということを聞いたことがありますが,これは発表者に対して大変失礼な行為なのでやめてください.拍手が何のために行われるのかを考えればそのようなことは言えるはずがありません.もし拍手を促したいのであれば「ではこれで○○くんの発表を終わりにしたいと思います(パチパチパチパチ)」などと自分から拍手をすればいいです.普通ならつられて拍手するでしょうし,あまりにもひどい発表であればそれでも拍手はないでしょう.個人的な意見を述べるならば,修論発表会においては拍手の必要はないと思います.審査ですから.

学級経営と学級崩壊

今学期受講している心理学概論(’12)の第2回「教育についての心理学」から学級経営と学級崩壊について,書いてみたいと思います.

QU (Questionnaire Utilities)

QUは早稲田大学の河村茂雄先生が開発した学級集団の状態を把握するための心理検査である.

上記のような40の質問項目に対して,「いつもそうである」「ときどきそうである」「どっちともいえない」「あまりそういうことはない」「ぜんぜんそういうことはない」の5件法で回答してもらう.この結果をプロットして,学級集団を分析する.

横軸はルールであり,最低限の行動様式が整っているかどうかを示す.ルールとは,先生に言われなくても,準備しよう,片付けしよう,などのルールが共有されていることをいう.縦軸はリレーションであり,友達同士の仲のいい親和的な人間関係を示す.子どもたちが和気藹々と勉強していくには,ルールとリレーションの両方が成立していることが必要となる.

学級崩壊

学級崩壊は以下の2つが起きている状態である.

  • 集団での学校教育が成立しない状態
  • 子ども同士が傷付け合ってしまう状態

学級崩壊は急に起きるのではなく,だんだんと起きる.学級の崩れ方は2種類ある.

  1. 管理型
  2. なれあい型

管理型の学級崩壊

管理型は厳しい先生の学級で起こる.先生の指導の下で,ルールを決めて,クラスをまとめていく.このような学級では,子どもたちのルールは整い,先生がいるときはルールに従ってよくまとまる.しかし,先生がいなくなるとバラバラになる.最近は厳しい先生への反発心を持って,崩れていく傾向があり,90年代までに多かったパターンである.

なれあい型の学級崩壊

それまでの管理型による厳しさでまとめる芽球経営が良くないとの批判から,子どもを個に沿ってサポートしていく,生徒・児童一人ひとりと先生が友達のような関係をとりながら,ふんわりとまとめていくような学級経営が増加した.2000年前後に増えてきたのは,このようななれあい型の学級集団である.これらの学級では,先生と子どもの人間関係はほどほどだが,集団生活を送るための最低限のルールが共有化されない.そのため,全体行動における人間関係に軋轢が起きる.これは,信号がない道路を走るようなものである.

学級崩壊の始まり

学級崩壊は管理型・なれあい型の学級が崩れていくことで起こる.上記図2および図3の状態から,悪化すると図4の状態へと進む.

この状態になると,先生は左下の生徒・児童に対して,個別対応に追われるようになる.しかし,実際は個別の問題だけではなく,学級全体が問題を抱えており,全体の崩壊が進む.結果として,図5のような学級崩壊状態になる.

このような状態から立て直すことは難しいので,管理型・なれあい型に類型された段階で,満足型に移行できるように対策するのが,良い.なお,このような類型はいじめや学力にも影響があることが示されている.

まとめ

放送授業では,満足型が多い学校・学年では,どういう指導がされているか,教員はどういう試みをしているかなどが紹介されていますが,それは放送授業を見て下さい.これらは小中学校の話ですが,講義を聞いていて感じたのは,大学も同じであろうということです.学生が伸びる大学は,この類型でいけば満足型になっており,教員も満足型になるような努力をしているだろうことが想像されます.これは,放送授業を聞けばわかることですが,教員1人が頑張ってもどうにもならないことです.教員全体が協調して動くべき問題です.つまり,これこそファカルティ・デベロップメントで行うべきことなのではないでしょうか.

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