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学級経営と学級崩壊

  • 投稿: 2012年10月07日 22:58
  • 更新: 2012年10月07日 22:58
  • 教育

今学期受講している心理学概論(’12)の第2回「教育についての心理学」から学級経営と学級崩壊について,書いてみたいと思います.

QU (Questionnaire Utilities)

QUは早稲田大学の河村茂雄先生が開発した学級集団の状態を把握するための心理検査である.

上記のような40の質問項目に対して,「いつもそうである」「ときどきそうである」「どっちともいえない」「あまりそういうことはない」「ぜんぜんそういうことはない」の5件法で回答してもらう.この結果をプロットして,学級集団を分析する.

横軸はルールであり,最低限の行動様式が整っているかどうかを示す.ルールとは,先生に言われなくても,準備しよう,片付けしよう,などのルールが共有されていることをいう.縦軸はリレーションであり,友達同士の仲のいい親和的な人間関係を示す.子どもたちが和気藹々と勉強していくには,ルールとリレーションの両方が成立していることが必要となる.

学級崩壊

学級崩壊は以下の2つが起きている状態である.

  • 集団での学校教育が成立しない状態
  • 子ども同士が傷付け合ってしまう状態

学級崩壊は急に起きるのではなく,だんだんと起きる.学級の崩れ方は2種類ある.

  1. 管理型
  2. なれあい型

管理型の学級崩壊

管理型は厳しい先生の学級で起こる.先生の指導の下で,ルールを決めて,クラスをまとめていく.このような学級では,子どもたちのルールは整い,先生がいるときはルールに従ってよくまとまる.しかし,先生がいなくなるとバラバラになる.最近は厳しい先生への反発心を持って,崩れていく傾向があり,90年代までに多かったパターンである.

なれあい型の学級崩壊

それまでの管理型による厳しさでまとめる芽球経営が良くないとの批判から,子どもを個に沿ってサポートしていく,生徒・児童一人ひとりと先生が友達のような関係をとりながら,ふんわりとまとめていくような学級経営が増加した.2000年前後に増えてきたのは,このようななれあい型の学級集団である.これらの学級では,先生と子どもの人間関係はほどほどだが,集団生活を送るための最低限のルールが共有化されない.そのため,全体行動における人間関係に軋轢が起きる.これは,信号がない道路を走るようなものである.

学級崩壊の始まり

学級崩壊は管理型・なれあい型の学級が崩れていくことで起こる.上記図2および図3の状態から,悪化すると図4の状態へと進む.

この状態になると,先生は左下の生徒・児童に対して,個別対応に追われるようになる.しかし,実際は個別の問題だけではなく,学級全体が問題を抱えており,全体の崩壊が進む.結果として,図5のような学級崩壊状態になる.

このような状態から立て直すことは難しいので,管理型・なれあい型に類型された段階で,満足型に移行できるように対策するのが,良い.なお,このような類型はいじめや学力にも影響があることが示されている.

まとめ

放送授業では,満足型が多い学校・学年では,どういう指導がされているか,教員はどういう試みをしているかなどが紹介されていますが,それは放送授業を見て下さい.これらは小中学校の話ですが,講義を聞いていて感じたのは,大学も同じであろうということです.学生が伸びる大学は,この類型でいけば満足型になっており,教員も満足型になるような努力をしているだろうことが想像されます.これは,放送授業を聞けばわかることですが,教員1人が頑張ってもどうにもならないことです.教員全体が協調して動くべき問題です.つまり,これこそファカルティ・デベロップメントで行うべきことなのではないでしょうか.

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