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修論発表前に気をつけるべきこと

  • 投稿: 2012年12月30日 17:48
  • 更新: 2012年12月30日 17:48
  • 教育

12月になると師走と言われるように,学内がワタワタしはじめます.年度末に近づくということは,卒論や修論が佳境を迎えることを暗示しています.この時期になると,卒研発表会やら修論発表会やらで,発表練習する機会も増えてくると思います.そこで,そういった学内での研究発表に向けたエントリを書いてみたいと思います.

過去にも似たようなエントリを何度か書いています.

今回は修論発表前に気をつけるべきことを書いていきます.想定対象読者は大学院修士(博士前期)生です.個人的には,修論発表会はもっと厳粛に行われるべきだと思います.

修士生が気をつけるべきこと

学位審査であることを忘れないで下さい

修論発表会はいつものゼミの延長線上や単なるイベントのように感じるかもしれませんが,歴とした学位審査です.修士という学位を授与するに相応しいかどうかを審査する場です.それは就職活動における最終面接などと同義です.ですから,そのような修論発表会に,どのような服装で挑むのか,どのような立ち居振る舞いをしなくてはならないのか,なんて説明するまでもありませんよね.

発表を聞いていると「先ほど○○くんが説明したように」などという発言があったりします.これはおかしなことです.都合上,研究室ごとに発表がかたまっていたりすると思いますが,それと発表は独立です.先述したとおり,修論発表会は学位審査ですから,修士の学位に相応しいかどうかを審査します.それは一人ひとり審査します.ですから,前後の発表とは独立に自分の発表を行ってください.すでに誰かが言ったことでも,自分の言葉で説明してください.審査対象はあなた自身です.

発表時間は守って下さい

発表時間は守ってください.審査をする都合上,プログラムを編成して順番に発表を行っていますが,審査される側は独立です.ですから,与えられた時間内で完結してください.すごい研究をしていて発表時間が短かったとしても,その短い時間で自分の研究成果を発表することができるかどうかを審査しています.就活で「自己PR(200文字)」と書かれているのに2000文字書く人はいませんよね?そういうことです.

学会発表と同じ発表をしないで下さい

すでに学会発表をしていたり,成果をまとめてこれから発表する準備をしていたりすると思いますが,学会発表と修論発表会は聴講者が違いますので,同じ発表をしないでください.学会はその分野の専門家が聴講者でしょうから,専門的な話題に終始しても問題ないでしょう.しかしながら,修論発表会では専門が近いとはいえ,学会発表の聴講者ほど専門に近くはありません.ご存じのように,発表は自分がしゃべりたいことをしゃべるのではなく,聴講者が聞きたいと思っていることをしゃべるものです.ですから,聴講者に合わせて発表内容は変えてください.時間調整さえすればいいというものではありません.

略語は定義してから使って下さい

前項と重複しますが,修論発表会の聴講者は非専門だと思ってください.自分の研究分野では一般的に通用する略語でも,通じないと思ってください.たとえば,SN比なんて言葉も厳しいかもしれません.「注目する信号とそれに含まれるノイズの比をSN比と呼び,この数値が高いほど性能がよいことを示します」のように説明してください.こういう基礎的な事柄を自分の言葉でしっかりと説明できるか否かは,修士としての資質に関わると思います.

レーザーポインタの使い方に気をつけて下さい

通常のゼミでは使う機会が少ないからか,レーザーポインタの使い方を知らない人が多いように思います.レーザーポインタは指し棒と同じように使ってください.注目すべきところを指し示す道具です.ですから,レーザーポインタを振り回さないでください.注目すべきところを指し示す道具なのに,そのポインタが目まぐるしくブンブン飛び回っていると,それだけで聞く気がなくなってしまいます.人間は動く物体を追いかける性質があります.そのため,レーザーポインタがあちこち飛び回ると,人間がそれを追っかけてしまい,集中して発表を聞くことができなくなります.道具は効果的に使ってください.わからなければ指導教員に教えを請いましょう.

教員が気をつけるべきこと

上記について指導して下さい

上記に示した修士生が気をつけるべきことについて指導して下さい.修士生ともなればもう大人ですから,放っておいても成長すると思いますが,それは研究室での指導の成果ではありません.ちゃんと指導して,研究室卒業生として相応しい優秀な修士生を輩出してください.

フォローは控えて下さい

質疑応答などの場面で,指導教員がフォローに入ることがありますが,控えてください.むしろ,やめてください.先述したように,修論発表会は学位審査会です.学位審査の場において,フォローを入れるということは,その修士生が「審査対象として相応しくない」と言っているようなものです.フォローすべきではないことを自覚してください.そして,自分の指導がまずかったと末代まで後悔して懺悔してください.もう遅いのです.フォローすべきような状況になったのであるならば,指導教員ではない第三者が行うべきです.「まぁそういうものの見方もあると思いますが,あなたの研究目的から考えると,××が△△ということなのですよね?」などと誰かが言えばよいのです.

拍手を要求しないで下さい

発表が終わった後に「ではこれで○○くんの発表を終わりにしたいと思います.拍手をお願いします」などということを聞いたことがありますが,これは発表者に対して大変失礼な行為なのでやめてください.拍手が何のために行われるのかを考えればそのようなことは言えるはずがありません.もし拍手を促したいのであれば「ではこれで○○くんの発表を終わりにしたいと思います(パチパチパチパチ)」などと自分から拍手をすればいいです.普通ならつられて拍手するでしょうし,あまりにもひどい発表であればそれでも拍手はないでしょう.個人的な意見を述べるならば,修論発表会においては拍手の必要はないと思います.審査ですから.

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