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ITパスポート(CBT試験)のリハーサル試験

  • 投稿: 2011年02月13日 16:35
  • 更新: 2011年02月13日 16:39
  • レビュー

平成23年11月から情報処理技術者試験のうちITパスポート試験にパソコンを用いて試験をおこなうCBT(Computer Based Testing)方式を導入する予定です。

そこで、情報処理技術者試験センターでは、本試験の実施に先立ち、受験者の方にCBT方式での試験を幅広く体験していただくとともに、CBT方式の試験への理解を深めていただくため、下記のとおりリハーサル試験を実施することとしました。

情報処理推進機構:情報処理技術者試験:新着:記事

ということで,ITパスポートのリハーサル試験を受験してきた.試験時間は13時30分~16時15分の165分で出題は100問.辛いので1時間以内に終わらせる目標で頑張って,50分で100問解答し,82%の成績で試験を終えました.無勉強で大して考えもせずにさっさか解いて82%だからそんなもんでしょう.ちなみに,採点はIRTを使っているようなので,単純に18問間違えたわけではないのかもしれません.しらんがな!以下,講評.

試験実施方法

いわゆるパソコン教室で受験します.過去の経験によるとIC3.com Masterなどと同じような感じです.ウィンドウを閉じるボタンやWindowsボタン,タブキー,右クリックなどは効力を発揮しません.しかしながら,Ctrl+Alt+Delは効力を発揮しました.やる気なら何でもやれそうです.OSはWindows7でしたが,どうやらこの試験はWindowsを前提にしているらしいです.私の見逃しかもしれませんが,実施概要のどこにもWindows前提である旨は書かれていません.しかし,Windowsの操作の基本中の基本を知らないと,試験中に困る可能性があります(後述).

まず気になるのは文字の小ささです.文字は設定で最大200%まで拡大できますが,デフォ設定の100%は小さいです.CBT試験が紙試験に遠く及ばない点として,画面の一覧性の悪さをあげることができます.文字サイズを100%にしていても,縦スクロールバーが表示されるような出題がありました.また,180%以上に拡大すると横スクロールバーも現れ,操作性が非常に悪くなります.Acrobatの手のひらツールのように画面をつかんで移動させられれば,まぁ悪くはないですが,スクロールバーでしか操作できないので非常に使い勝手が悪いです.

文字色と背景色は,白背景に黒文字がデフォですが,設定変更が可能です.白黒反転というボタンがあり,黒背景・白文字に設定可能ですが,出題画面だけに反映され,画面全体に反映されるわけではありません.また,ヘルプなどの説明画面では画像部分が悲劇的なことになり,見るに堪えなくなります.ちなみに,この文字色や背景色の変更はいわゆるWindows標準のカラーピッカーが表示され,このウィンドウはモーダルモードです.

試験が開始されると気になったのは,フォントの汚さ.なんだか知りませんが,メチャクチャ見にくい明朝体でした.ここはメイリオなどの見やすいフォントを採用した方が良いのではないでしょうか?パソコン上で明朝体が見やすいなんてことはないですよね?印刷物じゃあるまいし・・・.

問題送りは「前の問題」「次の問題」(文言は正しくないかも)で前後に送ることができます.それ以外に,全100問の解答と「あとでチェック」(文言は正しくない)の印が表示される場所がありまして,まぁ横スクロールバーが表示されるんですけど,全問題を行き来できます.ただし,ダブルクリックするとその問題に遷移するという説明はなかったように思われます.ちなみに,100問目で次へを押すと1問目に戻ります.個人的にはチェックした問題だけを順繰りにめくる機能があっても良いのではないかと思いました.

それから計算用紙代わりに,A4をラミネート加工したものとホワイトボードマーカー(極細,イレーサ付き)が渡されます.詳しくは試験内容の方で述べますが,これはこれでも良いような気がします.

ここから批判.Windows前提であるなら,Windows前提である旨を実施要項に書いておくか,またはヘルプなどに使い方を説明するべきである.ITパスポートのような最低限のリテラシを問うような試験でWindows前提を押しつけると,デジタルデバイドが発生する可能性が高い.まぁ,それを含めての試験かも知れませんが.何がマズイのかっていうと,試験中にヘルプや表計算の仕様を見ることができるんです.しかし,表示される画面内に「閉じる」などのボタンはなく,Windows標準の最小化最大化閉じる三兄弟ボタンしかありません.しかも,マウスカーソルを乗っけてもツールチップが表示されないので,知らない人は知らないので操作できない状態になります.さらにまずいのが,このウィンドウはカラーピッカーと違ってモーダルじゃありません.ですので,この画面を表示したまま試験問題を操作することができます.これはパニクる人が出てもおかしくないレベル.このような基本的な部分をどのようにするのかを考えなくてはならないと思う.

試験内容

高度区分持ちなので,難易度についてどうこう述べる立場にはありませんが,「ITパスポート」という名を付けるにはいささか難しいようにも感じます.出題は以下のようになっています.

ストラテジ系(経営全般)?:?35問程度
マネジメント系(IT管理)?:?25問程度
テクノロジ系(IT技術)?:?40問程度

ITパスポート試験(リハーサル試験受付)

試験画面の左上に「テクノロジ」とか表示されていたような気がしますが,あまり気にしてなかったので,このような比率だったかどうかは分かりません.試験制度が変わった頃から繰り返し指摘していますが,ストラテジは難しいです.ITパスポートっていうレベルを逸脱しているようにも感じます.まぁ,その辺は試験制度の問題なので,出題範囲に合わせて勉強すればいいだけのことなのでとやかく言うことではないようにも思いますが,「パソコンに詳しい人」程度が無勉強で受けると落ちるレベルであることは指摘できます.

前項にも書きましたが,計算用紙の件.ラミネートカードにボードマーカでも良いんじゃないかと思います.そもそもITパスポートでは計算問題がそれほどでないし,計算するといっても走り書き程度ですので.しかしながら,紙試験に比べれば,CBT試験はこの勝手が非常に悪いです.紙試験では試験問題に直接メモを取ることができましたが,CBT試験ではそれができません.そのため,問題とメモが一致しないので,確認作業をするときに探すという一手間が必要になります.CBT試験で紙試験と同等の使い勝手を実現するなら,画面に直接メモを取れる仕組みを取り入れる必要があります.iPadでやればいいんじゃねーの?Androidでもいいけどさ.

CBT化によるメリット

CBT試験によって,現行の年2回から受験回数が大幅に増加することが予想されます.そのため,受験機会の増加は単純に歓迎すべきことと思われます.特に,就職活動などでこの資格が必要だという人(そんな人いるのか知りませんが)には打って付けです.現行制度では4月か10月しかないので,就職活動でアピールするためには前年の10月試験を受けなくてはならず,願書は8月なので,往々にして受けられない状況があります.これが改善されるでしょう.そういう意味でいえば,基本情報もCBT化した方が,就活生へのアピールとしては大きいのではないかと思う.そう考えれば,SEやSIあたりの就活における1つの採用ステップに使うというのもあるかもしれません.

どのような運用になるのかが分からないので軽々しく言えませんが,受験回数が増えるので,ITパスポート程度なら,何回か受ければ受かると思うので,金にものを言わせて資格をゲットするという行為も可能になると思います.もしそうなれば,ITパスポートは国家資格といえど,価値は低くなるでしょう(既に価値がないとか,い・わ・な・い・の☆).

CBT化によるデメリット

なんつっても,紙試験に比べて手間がかかります.紙ならそのままメモが取れるのに,それはできません.また,受験回数の増加に伴い,合格者数も増えるでしょうから,合格者数に比例して価値が下がるとすれば,すぐに陳腐化します.

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