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放送大学

放送大学5年生に進級しました

ども.2009年4月に科目履修生で放送大学に潜入し,その後9月から全科履修生3年次編入を果たし,ついに2011年10月から5年生になりました.人生初の留年ってヤツを経験中です.初・体・験☆

10月を過ぎて新学期になったので,今日は所属する東京文京学習センターに赴き,新しい学生証を受け取ってきました.写真は論文誌の著者紹介と同じ写真にしたので,なかなかイケメン風味になってます.今後は,留年を反省しつつ(?),早く卒業できるように,日々邁進して参ります.

新しくなった放送大学東京文京学習センターを見てきた

皆さまご存じのように,放送大学東京文京学習センターは建て替え工事のため,浮間舟渡に仮移転していました.この度,ONAIRなどで報じられている通り,新校舎が完成したらしいので,偵察しに行ってきた.

学長先生が超絶だというんだから,超絶な出来映えなのだろう.期待が高まるぜ.で,撮影しまくってきた写真は以下をご覧下さい.一部,放送大学と合築されている筑波大学も写っていますが,まぁ,仕方がない.

いやいやいや,実にモダンでスタイリッシュに仕上がっています.学校というより,ホテルのロビーみたいです.とてもオシャレ!オレが通学するに相応しい校舎です(ぇ.図書館は筑波大と共用です.図書館に定評のある筑波大なので,1度潜入してみたいと思います.ちなみに,今日は筑波大の方が入試をやっていたため,建物の全てを見て回ることができませんでした.新学期が始まったら,じっくり見に行こうと思います.

ちなみに,久しぶりに茗荷谷に行ったんですが,駅前がモダンに進化してました.駅の隣に複合ビルができてて,ドコモショップ,コンビニ,カフェ,スーパー,しまむらが入ってました.また,放送大を出てすぐの交差点の所にもローソンができてました.便利になったものです.

平成23年度第1学期の成績

成績が出てました.全然ダメですね.自分の得意科目で@をとって,一体何になるというのだ.当たり前じゃないか.その反面,自専門科目はBとCという体たらく.学びたいのか,単位を取りたいだけなのか.はっきりとすべき.全く以て酷い有様です.UCになってから,あらゆることが上手くいきません.

平成23年度第1学期単位認定試験

試験期間は既に始まっていますが,今日から参戦しました.今学期は以下4科目を受験します.

  • 情報の世界(’10)
  • 心理臨床とイメージ(’10)
  • 思春期・青年期の心理臨床(’09)
  • 記憶の心理学(’08)

今日は「情報の世界」と「思春期・青年期の心理臨床」の2科目を受験してきました.基本的に,勉強は自分のためにやっているので,自分が理解した,満足した,と思えば,それで良いのです.なので,放送授業を受講し終えた段階で,目的はほぼ達成されています.ですから,単位は取れても取れなくても,大した問題ではないです.単位は受講の結果に付いてくるオマケのようなものです.ただ,修了はしたいので,卒業要件に達するだけの単位数は欲しいです.

基本的に,オマケは欲しいです.なので,単位を落とすことは実にもったいないです.しかも,もらえるものであれば,1番良いものが良いに決まってます.しかし,その一方で,試験は自分の実力(地力)を推し測る場でもあるので,一夜漬けで試験の時だけ良い成績を取ろうってのは,好きじゃないです.結局,オレの成績表は実力(地力)をそのまま表したものになっていると思います.

今学期は自専攻科目が多めなので,良い成績を修めたいところです.残りの2科目は,最終日に受験予定です.

201107312353追記

最終日は最後の2コマを受けてきました.記憶の心理学は想像していたよりも簡単だったので,なんとか対応したと思います.心理臨床とイメージはちょっと想定と違っていて,なかなかに自信がないです.来学期も頑張る.

思春期・青年期の心理臨床(’09)

今学期受講している4科目の最後です.とっくに終わっていたんですが,記憶の心理学をまとめるのに,ものすごい時間がかかってしまったため,こっちもずるずると遅くなりました.いつも通りに,まとめていきたいと思います.

思春期・青年期

子どもから大人への移行期あるいは過渡期,それが思春期・青年期といわれる時代である.学校区分によると,小学校高学年頃から思春期が始まり,中学・高校時代に最盛期を迎え,青年期と重なり,この青年期は社会に出始める時期まで続き,成人期初期と重なる部分もある.

思春期とは,第二次性徴により児童期の終わりを告げ,生物的な大人への一歩を踏み出すステップにあたる.男子では,喉頭軟骨の発達・変声・外陰部の変化・外陰部の発毛・腋下の発毛・精通を,女子では,乳房の発達・外陰部の発毛・腋下の発毛・女性的な丸みをおびた体型への変化,初潮を体験する.

青年期では,思春期と大部分の期を重ね合わせながら,社会的な存在として意識し始めることを特徴とし,プレ大人としての入り口に立たされる時期に値する.エリクソンは,この「自分」を確立した状態を,アイデンティティとし,思春期・青年期のライフサイクルにおける発達課題は,「自我同一性」とした.

急激な体格の変化,第二次性徴の出現は,個人差が大きいものの平均して12~13歳くらいに見られることが多い.考え方の変化は,第二次反抗期などの形によって表われる.親から与えられていた価値観に疑問を持ち始め,大人たちの言動一つひとつに苛立ちを覚え,暴言を吐いたり,無視したり,果てには反社会的行動に出たりと,試行錯誤を繰り返す.思春期の「1度それまでの価値観を壊し,再構成して」いく通過儀礼の中では,避けられないものでもある.

青年期は,思春期に始まる自己の再構成を引き続き,取捨選択し,つなぎ合わせ,融合させていき,形成されたものを強化していく時期ともいえる.周囲からの批判も肯定的に受け入れられるようになり,自我状態が安定していく.

日本人のアイデンティティとその問題提起

河合は「日本人はその自我を作り上げてゆくときに,西洋人とは異なり,はっきりと自分を他に対して屹立しうる形で作り上げるのではなく,むしろ,自分を他の存在のなかに隠し,他を受け入れつつ,なおかつ,自分の存在をなくしてしまわない,という複雑な過程を経てこなくてはならない」と指摘している.

欧米での個人は「私」としての一人称独立の形,つまり,「責任主体として独立した人格」であるのに対して,日本人は,自他の区別が曖昧で「人との関係の意識」なしでは語れないこと,事実そのものを表現するというより,「事実がこの関係を通して,この関係に色づけられて表現されることになる」ことを指摘している.

集団への帰属

11歳前後から中学生にかけては,同世代の同性の友人との交流が重要であり,サリバンはこの親密な関係をチャムシップと呼んでいる.仲間集団との遊びや勉強に対して外向きの関心が高まり,思春期に向けて自分探しの内的作業を通して,集団への帰属を考えるようになる.

不適応行動

不適応とは,個人と環境とのバランスの問題であり,個人が環境とうまく調和できていないことをいう.長尾は,ヒトの不適応の現れ方として,不安,恐怖,抑うつ,脅迫などの「精神症状」,不登校,反社会的行動,ひきこもりなどの「問題行動」,不眠,食欲不振,過食などの「身体症状」として生じるとし,教育相談現場の心理臨床家にとって,「発達」的見地から不適応をとらえていくことの重要性を述べている.

身体的症状があり,治療に際して心理的社会的要因が関連している場合を心身症という.思春期に多い症状として,便秘や腹痛,下痢などを反復する過敏性大腸症候群や動悸,めまい,手足のしびれなどの起立性調節障害,不安からくる呼吸困難,過呼吸などの過換気症候群などがある.(以下私見)UCは心身症です.

思春期の心理的支援

子どもが「自分とは何か」を確立し,他者との安定した関係を形成していくためには,どこかで「自分は認められている」という思いが必要である.「理解してもらえない」という思いは,寂しさや疎外感,いじけとなり注目されたい行動や反社会的行動として表われやすい.(以下私見)私にとってのツイッターである.

青年期の交友関係

青年期は,ライフサイクルの中では,児童期や成人期の狭間にあり,心理的・社会的にも子どもには属さないが大人の社会構造にも属さない不安定な境界期でもある.

ウィニコットは,親からの分離に伴う悲哀感や孤独感,親からの完全な自立が達成されない葛藤状態を「青年期のドルドラム」と名付けている.この時期,スポーツ選手やアイドルスターなどに憧れることが多い.それらモデルに「同一化」し,模倣や取り入れが起こり,その過程で自我理想が形成されるのである.

青年期の自分探し

アイデンティティとは,「過去から未来につながる自己の連続性の感覚であり,その中でさまざまな役割を果たしながら,自分は一貫して自分であり,社会の中でも確固たる承認を得ている」という感覚である.青年期は,「自分とは何者であるか」という深刻な葛藤と危機に直面する時期とされ,その葛藤を通してアイデンティティが獲得される.エリクソンは,アイデンティティの確立は,乳幼児期からの発達過程を通して形成されるもので,青年期以前の発達課題が適切に達成されていなければアイデンティティの確立はしにくいと述べている.

青年期の心理的危機

標準的な青年期の心理的危機として,心理社会的視点からライフサイクルをとらえたエリクソンの自我同一拡散があげられる.その心理的特徴として,以下を挙げている.

  1. 将来の見通しが喪失し,自分が幼くなった感じや老いた感じを持つ時間的展望の拡散
  2. 非行などに見られる一般社会に相反するものを過大評価して,それを自分の拠り所として,そのメンバーに加入する否定的同一性の選択
  3. 何もかも確信が持てず,優柔不断になり,自意識過剰になったりと他者の目に気を配る自意識過剰
  4. 進路や職業選択などの決断力が欠如し,勉学や仕事の集中力も欠如する選択の回避と麻痺
  5. 親密になったり,離れたり,孤独になったりという対人関係上の距離が一定に保てなくなる対人距離の欠如
  6. 将来の目標とつながる勉学や仕事に集中できず,幼稚な遊びや読書などにふける勤勉さの欠如

青年期の不適応

笠原は,親からの心理的独立,自我同一性の確立の過程に関する決断,危機からくる青年期に生じやすい不適応状態の際立つ病像として,自己破壊的行為,無気力反応,統合失調症,対人恐怖などを挙げている.自殺やリストカッティングは,抑圧された感情を自分に向ける攻撃ととらえられる.スチューデント・アパシーは1970年代頃からわが国で問題視されるようになった.

社会的自己の模索

エリクソンは,青年が,大人になるまでに社会的役割実験を重ねる準備期間を「モラトリアム」と呼んでいる.これは,アイデンティティ形成のためにさまざまな経験をすることを社会から認められ猶予された期間である.大学生の中には単位を取らず留年を繰り返す学生も少なくない.また,就職に関しても業務や対人関係になじめずすぐ辞めてしまう若者もいる.小此木は,このような青年期の状態を「モラトリアム人間」として,自己確立の作業に取り組まない若者の姿をとらえている.

軽度発達障害

軽度発達障害とは,発達障害の中でも比較的程度の軽い障害を指し,広汎性発達障害,注意欠陥・多動性障害,学習障害をあげることができる.

広汎性発達障害

広汎性発達障害とは,自閉症とそれに近い特徴をもつ高機能自閉症やアスペルガー障害などの発達障害の総称である.高機能自閉症は,社会性,コミュニケーション,こだわりなどの行動面に障害をもつ自閉症の基本的行動特徴を示しながらも知的な遅れを伴わないものをいう.自閉症の基本的特徴として,一つは,社会性の障害が挙げられる.二つ目は,コミュニケーションの質的低下が見られる.三つ目は,興味と活動の限定で,関心活動の幅が限られ,反復的で常同的な様式にこだわりが見られる.

アスペルガー障害は,1944年にアスペルガーによって報告された「小児期の自閉的精神病質」から,イギリスノウィングが再発見し発展された概念である.アスペルガー障害と自閉性障害の異なる点としては,その障害のために社会的,職業的,または他の重要な領域における機能に臨床的に障害が引き起こされ,思春期・青年期の進学,就職などの大きな壁になっていること,著しい言葉の遅れがないこと,自己管理能力や対人関係以外の適応行動に臨床的に明らかに遅れがないことなどが挙げられる.

学習障害

学習障害とは,DSM-IV-TRにおいては,「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」の三側面から定義されている.しばしば多動性・注意散漫・集中困難性,衝動性の強さが見られることもある.学習障害には,さまざまなタイプがあり,学力面の特有の困難さや他の障害との重複もある.その困難さとは,

  1. 基本的学習能力のつまずきからくる「学力の困難」
  2. ことばの理解や使用に学びにくさがある「ことばの困難」
  3. ソーシャルスキルや社会的認知能力にみられる「社会性の困難」
  4. 協応運動や運動企画能力にみられる「運動の困難」
  5. 注意の集中や持続性の困難,衝動性や多動性の困難が特徴の「注意集中・多動による困難」

が挙げられる.

注意欠陥・多動性障害

注意欠陥多動性障害は,注意力維持の困難,注意転動,過活動,衝動コントロールの困難を主要症状とした発達障害である.

特殊教育から特別支援教育へ

平成19年度に特別支援教育が学校教育法に位置づけられ,従来の障害の程度などに応じ特別な場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて,適切な教育的支援を行う「特別支援教育」へと転換された.小学校,中学校に設置されていた特殊学級は,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,弱視,難聴,言語障害,情緒障害などを対象とされてきたが,軽度発達障害的様相があり学習や生活上において困難をきたしている通常学級にいる児童・生徒も指導の対象となり,必要な時間に通級できるようになっている.

軽度発達障害の児童・生徒は,知的に遅れがないため,高校へ進学することが多くなってきている.実際に学校現場には,軽度発達障害の様相を示し,学習や生活面において困難を示している生徒も多くいる.早急に高校現場におけるLD,ADHD,高機能広汎性発達障害の実態把握を行う必要がある.

心理教育的援助サービス

学校とは,自分探しを行うための営みの場であり,その中で,自分を形成していく.学校は,子どもが発達する場であり,学校は教育を子どもの成長発達を援助するため長期にわたり計画的に支援を行う場でもある.石隈は,学校教育サービスは,指導サービスと心理教育的援助サービスに分けられるとしている.指導サービスは,教師が指導者として児童・生徒に教える活動であり,学校生活に不慣れな児童・生徒に対しても導くことも含まれている.援助サービスとは,児童生徒が家庭や学校の中で出会う課題への取り組みと問題の解決を援助し,成長を促進する教育活動である.

カプランらのコミュニティ心理学における予防モデルを参考に三段階の心理教育援助サービスが提起されている.一次的教育支援は,すべての子どもが持つ援助ニーズに対する援助サービスである.二次的教育支援は,登校を渋る子どもや保健室登校など学習,心理社会面,進路面,健康面などに配慮が必要な子どもたちである.三次的教育支援は,不登校やいじめ,軽度発達障害などの問題で特別な援助が個別に必要な児童・生徒に対する援助である.

異文化適応

井上は,ベリーが文化受容の視点から,自文化の文化的アイデンティティや価値の維持を大事にするか否か,ホスト文化の人との関係を大事にするか否かという二つの問いへの,答えの組み合わせから4つの文化受容のタイプを見いだしているとする.分離は,自文化のアイデンティティは守るがホスト文化の人々とは関係を重視しないタイプ,同化は逆に自文化はそっちのけでホスト文化に一方的に合わせるタイプ,自文化のアイデンティティを重視せず,ホスト文化の人たちとの関係も大切にせず,どこにも帰属感がないタイプが周辺化であり,自文化のアイデンティティを維持しつつ,ホスト文化の人とも良い関係を維持するのが統合である.

異文化での文化的アイデンティティ形成

文化的アイデンティティとは,「国籍がどこであれ,日本人であるとかアメリカ人であるとかいうことからくる深い感情,ライフスタイル,立ち居振る舞い,興味や好みや考え方を全部ひっくるめたもの」である.未だ単一文化的要素が濃い日本では,常に日本人に囲まれがちで日本人性を意識することは少ない.

アメリカで成長期を過ごし,その後日本に帰国する帰国生達にとり,その文化的アイデンティティは単純明快な日本人か,アメリカ人かの二者択一ではなく,「アメリカ育ちの日本人」であったり「アメリカ人でも日本人でもある」複雑さがあり,割り切れぬものを割り切ろうとする葛藤がつきまとう.日本でずっと育った日本人青年には,日本人か否かの二者択一しか考えられないため,帰国生のそうした悩みや葛藤を理解できる人が少ないことが,彼らの疎外感をさらに深める.

帰国生の文化的アイデンティティの変容

子ども時代アメリカの生活には上手く溶け込み,アメリカ人的行動や考え方を取り入れ,日本帰国後,制服の存在,先輩後輩関係,はっきりものを言わないコミュニケーションに,逆カルチャーショックを受け,そこでむしろ自分が実は心理的にはアメリカ人であることを意識する.同調性の強い日本にめんどくささを感じてきたものの,反面面倒見がよく,アメリカでは全て自己責任で動く辛さがあるなど,二文化のプラスとマイナスを過不足なくとらえ,誇りを持って日本人としての文化的アイデンティティを持つようになる.

大人になるための「つまずき」

河合は,非行という現象を,ひとつの「つまずき」と捉えた.「つまずき」は「問題提起」であり,自分自身と周囲に対するある種の「問いかけ」と考えられ,成長過程におけるひとつのチャンスといいかえれば,子どもが大人になる過程には幾重もの「つまずき」が存在し,それを乗り越えるためにさまざまな行動を取ることになる.思春期・青年期の破壊行為は,外に向けられるだけでなく,内に向かっている傾向にある若者も少なくない.青年期後期になると,青年期前期までと比べて多少なりとも衝動性に対するコントロール能力がついてくる.しかし,心理的未熟さは混在し,アンバランスさが残る.心性的にも複雑な様相を呈すようになり,かつ年齢的には法律上の規制が多く厳しくなるため,その対応も難しくなってくる.

非行

非行とは,「同義に外れた行い.不正の行為.特に青少年の法律や社会規範に反した行為」である.同じ違法行為であっても,成人以降については「犯罪」,少年時代の違法行為を「非行」と分けている.少年非行を「社会的規範や規則などに違反したり,それから逸脱する行為」「子どもが行う困った行動,悪い行動」と捉えることもできるが,法律に基づく分類では,14歳以上20歳未満で罪を犯した少年を「犯罪少年」,14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした児童を「触法少年」,20歳未満で一定の不良行為があり,かつ性格または環境に照らして,将来罪を犯し,または刑罰法令に触れる行為をする恐れのあるものを「虞犯少年」といい,これら「犯罪少年」「触法少年」「虞犯少年」の3つをあわせて「非行少年」と定義することができる.

「非行は時代を映す鏡」とも言われており,時代とともに,非行の様相も変化しており,大きく分けて4つの波がある.昭和26年(1951年)の第1のピークを「貧困型非行」と呼び,戦後の社会的混乱・劣悪な生活環境による厳しい現実を生き抜くための「生活のための非行」と言い換えることができる.第2のピークは昭和39年(1964年),高度経済成長の過程に生じた工業化や都市化・国際化に伴う急激な社会的・文化的変動との関連で生まれた「集団型非行」が挙げられる.ストレス社会から回避するためのシンナー吸引などによるトリップもその特徴といえる.第3のピークは昭和58年(1983年),1970年代のオイルショックによる経済低迷,1980年代後半のバブル景気の間にあり,消費文化が花開き,地域性の崩壊,価値観の多様化から自己中心的な考えが蔓延し「非行の一般化」「遊び型非行」へと移り変わった.学校・社会から孤立した子どもたちは「不良グループ」を結成したり,校内暴力に至ったり,学内外のいじめが社会問題化した.第4のピークは平成5年(1993年)から趣の異なる動きを見せ,平成9年(1997年)より「いきなり型非行」という新たな非行現象が始まった.

思春期・青年期の世界

河合俊雄は高石の風景構成法の研究から10~11歳頃に鳥瞰図的な高所の一点から見下ろすような絵になる現象を取り上げ,主体の確立との関連性について述べている.また,鈴木は「底が抜ける」という表現を使い,思春期の地平にまで広がる他者との関係性について述べている.

現代は流動的な社会の変化にともない,自分自身も変化させ,その都度位置づけていくことが必要となる.しかしあまりに移り変わりが早いと,熟成や創造性に繋がらずに,単なる消費に終始することになる.

不登校

不登校とは,一般的に,怠学,経済的理由,重篤な病気などによらない主に心理的な要因により学校に行かない,もしくは行けない現象をいう.松田は不登校を,背景にある病態という観点から,

  1. クラスの皆が自分の悪口を言っているという被害関係妄想が見られるなど精神病を背景とした不登校
  2. 腹痛などの不定愁訴が見られるといった神経症を背景とした不登校
  3. 対人関係を避けて,ひきこもるなど人格障害を背景とした不登校
  4. 自閉症児のパニック状態によるなど発達障害を背景とした不登校
  5. 学校や大人に対する不満・不信など本人の意思としての不登校

と5つに分けている.鑪は不登校を葛藤型とアパシー型に大別している.葛藤型とは,学校へ行かなくてはならないという脅迫的な心性から葛藤に陥りやすく,また自己愛の傷つきに敏感なタイプである.アパシー型は笠原が退却神経症と指摘した一群であり,主に大学の相談室で出会う特有の無気力状態を示す不登校である.

不登校・ひきこもりの意味するもの

現代メディアを通して「本当の~」「理想的な~」ということばが多用され,特別な何かがそこにあるかのような錯覚を起こさせる.しかし自我とは,社会と個人が織りなすある種の妥協点であり,そこには少なからず幻滅がある.理想探しは大事だが,「特別なものがある」という意識を強く持ちすぎると逆に自分を見失う可能性がある.

高石はインキュベーションという言葉を使い,こもることの意味について述べている.高石によれば心理学的なインキュベーションとは,外界から「守られた環境」にこもることにより,無意識のイメージが段々まとまりを持ち,ひとつの明晰なイメージとなって夢などにより意識に立ち現れることを意味している.

イニシエーションとは,深層心理学では通過儀礼に相当する包括的な概念として使われている.通過儀礼とは「個人をある特定のステータスへと通過させることを目的に行う儀礼」であり,イニシエーションとは「加入させる人間の宗教的・社会的地位を決定的に変更すること」ということができる.

思春期・青年期に関わらず,臨床的な問題は一般的に適応的である・ない,正常・異常など社会的な価値観に基づく二分法で考えられがちである.しかし大人になるという困難を伴う作業の中でイニシエーションという死と再生を含む過程を通る際,不登校やひきこもりなどの問題行動という形を取ることがあることを認識しておく必要がある.

?こころとからだ

「われ思う故にわれあり」というデカルトが「方法序説」でのべた有名な言葉がる.デカルトは,あらゆることを懐疑したあげく,意識の内容は疑いえても,意識する私の存在は疑いえないという結論に到達し,これを第一原理とし,確実な認識の出発点とした.

ボディ・イメージとは,ヘットとホームズによって1911年に名付けられた,身体の運動や体位の変化を通じて,恒常的な自分自身の身体像の変化をとらえるものを指している.

自己を問うとき,「自己の存在が,常に自己の身体的存在と不即不離の関係においてのみ問題」となり,自己を見つめるということは,「われとわが身」を見つめるということである.「われとわが身」とは,レインの言葉を借りれば「身体化された自己」と「身体化されない自己」を指しており,「思春期における自己論は,常に身体論との相補的・補完的な関係においてのみ可能」となる.思春期までのこころの問題性は,身体に表われやすい.ストレスが許容範囲を超えたときや,嫌なことが起こったときには,身体を介して顕著にその症状を見ることができる.中井は,次のように表現している.

思春期の心身は学童期のようにはっきり身体言語を語らず,さりとて思春期以後のように精神症状という言語を巧みに用いない.これは表現的にも過渡的な時期,困惑の時期であることだ.

この時期の危機的状態をクレッチマーは「思春期危機」と名付けた.思春期危機の症状には,

  1. 権威に対する反抗
  2. 精神内界の失調
  3. 短絡反応

などがある.

思春期・青年期の精神病理学的問題点

はっきり言語化できて,解決の糸口が見いだされるとき,それは症状を生みはしない.葛藤の質が意識化されても,その解決の糸口が見つからず,葛藤が持続するとき,それは何らかの形で身体に影響を与え,不眠や,胃潰瘍や神経性大腸炎のような,いわゆる心身症を生む.それがさらに遷延化すると反応性うつ病に発展し,時には自殺という不幸な結果に終わることがあり,それが平均寿命を下げるほどに増加しているというのが,1999年世紀末の現状であった.

ヒステリーの身体症状は,抑圧された無意識の心的葛藤が,運動性,感覚性,自律神経性の障害として象徴的に「転換」されたものであると考え,「転換ヒステリー」と呼んだ.ヒステリー症状を起こすものは,その症状を出すことによって,結果的現実生活において何かを得することになる.これを「疾病利得」という.

摂食障害

学術的には拒食症を神経性食欲不振症,過食症を神経性大食症と呼ぶ.摂食障害の現れた初期の頃は「成熟嫌悪説」や「女性化の拒否」という説が有力であった.成熟嫌悪説とは身体が大人になりさえしなければ,自立の不安に直面しないでスムという心理が働くと考えられている.女性化の拒否説は,女性の患者たちは,思春期における身体的変化を拒み,拒食によって身体の発達を止め,月経を止め,少年のような中性的存在に留まろうとする.

自傷行為

自傷行為について,ウォルシュは「心理的苦痛を軽減するために意図的に行われる致死性の低い身体損傷」と定義し,その行為は社会的に認容されていないものを指す,とされている.米国の研究者は「自傷行為」を,リストカットなどの自己切傷のように,身体の表面に直接的な損傷を加える行為に限定して用いるが,英国の研究者は自己切傷だけでなく,薬の飲み過ぎである過量服薬や薬物乱用も含めたきわめて広義の概念として「自傷」を捉えている.

本人の心の葛藤が言葉としてはき出されるようになってきたら,「甘え(退行)」が出てくる.うまく「甘え」させてもらえることで自分が認めてもらえることを実感することにより,自分の存在価値への自覚が出てくる.自己評価を現実的な評価にするために家族や周りの人たちは,本人の良いところを褒めてあげる.良いところを褒めて認めてもらえることで気持ちが癒され,受け入れられていると確信できるようになれば自信も少しずつ出てきて病から回復しようとする決意も出てくる.

境界性人格障害

DSM-IIIの診断基準では対人関係における過度の理想化と脱価値か,不安定さ,不適切で激しい怒り,自己同一性の障害,空虚感,見捨てられを避けようとする気違いじみた努力などが主な特性である.

信頼関係を築く方法としての傾聴

話せる大人になるには,「秘密な守ること」「説教はしないこと」「命令はしないこと」「頭ごなしに叱らないこと」などがある.そこで,思春期・青年期の人たちと信頼関係を築くにはその人たちのことを尊重してその考えや気持ちを傾聴することが基本になる.

「聞く」は門構えに耳であるが,傾聴の「聴く」には耳だけでなく心が入っている.その上に「十四」だから,「十四の心が入っている」つまり,「心をいれて聴く」ので「注意して耳に留めること」になり「心を傾けて聴く」つまり「傾聴」となるわけである.

聞き上手になるには,

  • 相手の気持ちを負担に感じず,こちらから話したくならないような訓練が必要となる.
  • 自分の方から話さない.
  • ゆったりと構える.
  • 相手の話を「素直に」聞く.
  • 相づち以外はしゃべらない.
  • 意見を聞かれたときは,自分の意見を手短に答える.
  • 答えが見つからないときは「そうですね」といって,考えていればいい.
  • そのうちに30秒もすれば相手は自分の考えを述べたり,このようなことを言って欲しいという答えを自ら提示してくれたりする.
  • ただし,30秒の間,相手がしゃべり出すまで,気まずくならない雰囲気を作って待つのである.

などの具体例が,プロカウンセラーの聞く技術に書かれている.

ジェンダーアイデンティティの確立

ジェンダーアイデンティティの確立をして大人になるということは,河合によると,「男性は獲得するという形を取り,女性は受け入れるという形を取る」ことであり,「そのような受け入れは,女性の場合,身体的変化とともに青年期の前期に必要となるのに対して,男性はむしろ青年期の後半になってから,職業や配偶者を「獲得する」課題として,大人になることが体験される」としている.

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