- 投稿: 2012年04月03日 18:00
- 更新: 2012年09月26日 22:05
- 闘病記
アサコールを飲み始めて1年経ちました.アサコールになってからは,寛解期を順調に維持しており,私にとっては大変相性の良い薬です.しかし,このアサコールにも気になるところがあるので,素人目線で,根拠なく実感に基づいて述べます.
アサコールの薬剤放出制御機構
アサコールはpH依存型皮膜コーティングを採用しており,pH7以上(大腸内)で溶け始めます.ヒトの消化管内は胃,小腸上部でpH7未満であり,小腸下部,盲腸,右側大腸でpH7以上となります.そのため,小腸末端から薬剤放出されるため,UCの患部である大腸により多くの薬剤を届けることができるようになっています.そのため,ペンタサに比べ,下部大腸まで効果があるとなっています.個人的には,下部大腸での効果は限定的だと思っています.下はやっぱり下から打ち込むべきで,ペンタサ注腸が抜群だと思います.私個人にはペンタサよりも,より高い効果を発揮しているように思われます.何故なのかはわかりません.そもそも5ASAが効くというのも今ひとつ釈然としません.
ペンタサの薬剤放出制御機構
ペンタサでは腸溶性皮膜コーティングを採用しており,上部小腸から放出が始まります.放出率は大腸と小腸で同程度です.5ASAは塗り薬のようなものなので,患部に直接届いて効果を発揮します.そのため,UCの患部ではない小腸で薬剤放出されると無駄である上に,血液吸収され副作用を引き起こします.個人的には,ペンタサの血液吸収の影響を受けて,いくつかの副作用が起きていたと思います.反面,アサコールと違い上部大腸にも効果を発揮しやすいのではないかと思われます.そのため,ペンタサ注腸との併用では,最も5ASAの効果が得られると思います(というか信じています).
アサコールがそのままでてくることはあるか
排便中にアサコールを確認することはあります.しかし,そのことを医師や薬剤師などに報告すると「それは欠片で穴が空いていて中身は出てますから大丈夫です」と言われます.事実,割れているものも多く観測されますが,全く解けていないアサコールが観測されることもあります.これは偏にDDSの所為であると思います.
これは完全に持論で根拠はないですが,活動期や寛解期でも下痢症状がある場合,大腸通過時間が短いため,アサコールが融解しないのではないかと思います.または,なんらかの要因で腸内のphが7にならないために,融解しないということがありそうな気がします.私の場合,「調子が悪いなぁ」と感じる時ほど,アサコールがそのままでてきていたような気がします.昨今は,好調を維持していますので,欠片すら見当たらない状態になっています.
そのため,アサコールが全く効果を発揮しないという状況はあり得るのではないかと思います.その意味では,活動期においてはアサコールよりもペンタサの方が頼れる存在に感じています.真に頼れるのはペンタサではなく,ペンタサ注腸なんですけどね・・・.そもそも,活動期にアサコールでアンコントローラブルなら,5ASA単体ではなくステロイドを追加するべきだと思いますが,そこまで悪化したことないので.
ペンタサからアサコールに変えたばかりの頃は,本当にアサコールが全く解けずに排出されることが多かったです.服薬量が400mgを6粒で2400mgだったんですが,1日に2粒(要するに1食で飲む量全部)がそのまま出てきたこともありました.しかし,実に不思議なもので,そんな状態でも,ペンタサを飲んでいるときよりも遙かに調子が良かったです.これは,プラセボでしょうか.わかりません.
まとめ
よくわかんない.オレはアサコールの方が合っている.ペン注は最強.
201209131000追記
どうもテレビの所為か「アサコール」で検索してこられる方が急増しているのようなので,チャンスだと思って書きます.
- 安倍氏の“病気”完治したのか | 東スポWeb ? 東京スポーツ新聞社
- 難病指定 「潰瘍性大腸炎」は完治したのか – ゲンダイネット
- 安倍氏、お腹万全で日本と再起…自民党総裁選 (スポーツ報知) – Yahoo!ニュース
安倍元首相がアサコールのことを「潰瘍性大腸炎の特効薬」だと言って回っているようですが,そんなわけはありません.アサコールは2009年に承認された新薬ではありますが,中身は5ASAというものが入っていて,これは5-アミノサリチル酸という消炎剤です.5ASAで一般的に使われているペンタサと同じです.アサコールとペンタサの比較はこちらをご覧下さい.
所詮は消炎剤ですから,対処療法的で根本的な治療にはなりません.よって,「完治」には至りません.これを慢性疾患では「寛解」と呼びます.寛解の状態は特異的な症状を示さず,確かに「完治」したと思われる状態になりますが,根本的に治っていないので,いつ再燃するかわかりません.そのために,5ASAを寛解維持目的で飲み続けることになります.この服薬コンプライアンスを守るかどうかで再燃率が大きく違うという報告があります.
ですので,アサコールは安倍元首相がいうような「特効薬」ではありません.アサコールを飲めば潰瘍性大腸炎が治るわけではありません.もちろん,アサコールでコントロールできている患者も多くいます.私もそうです.しかし,アサコールが使えない(5ASAの副作用が強く出る)人やそもそも5ASAの効果が薄い人,慢性持続型で常に再燃状態の人など様々です.決して,安倍元首相がアサコールで調子よくなったから,潰瘍性大腸炎が治るなどと思わないで下さい.潰瘍性大腸炎は,未だに難病かつ特定疾患に指定されています.アサコールが真に「特効薬」であるならば,特定疾患から外されているはずです.
潰瘍性大腸炎は特定疾患の中では特に患者数が多い難病です.もしかすると,あなたの周辺にも患者がいるかもしれません.そして,その可能性は決して低くありません.そんなときに,無理解で「治る薬があるらしいよ~」とか「安倍元首相が特効薬があるといっていたのに,何故治らない!」などと言わないでください.自分の病気のことは自分で良く知っています.慢性疾患は無知では付き合っていけません.どうか,思い込みで決めつけずに,患者の声に耳を傾けてあげて下さい.
201209262205追記
またアクセス数が増えそうなので,資料を追加します.
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