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とくダネ!のIBS特集が酷かった件

  • 投稿: 2010年12月02日 11:57
  • 更新: 2010年12月02日 12:37
  • 雑記

2010年12月2日のとくダネ!でIBSが特集されていたが,その番組作成の姿勢が酷かったので言及しておく.

番組の貢献

番組の貢献として,IBSを広く世に知らしめたことが挙げられる.IBSは過敏性腸症候群という病気であり,ストレスや緊張などにより,腹痛・下痢・便秘などを引き起こす病気である.IBSに関する情報はアステラス製薬のIBSネットを参照すると良い.身近なIBS患者の例を挙げると,ちびまる子ちゃんの山根くんが挙げられると思う.作中ではIBSなどの病名は触れられていないが,症状から考えてIBSである可能性は非常に高い.つまり,一般的な認識として「胃腸が弱い」程度に思われており,体質と思い込まれている面もある.そのような状況にあって,IBSという病気があることを社会に広く知らしめる行為は,価値があると思う.

問題点

番組ではいくつかの事実を伝えていた.

これらは事実であり,問題はない.しかし,その番組作成の姿勢が酷かった.

まず,男性よりも女性にIBS患者が多いのは事実である.番組では,女性を取材し,IBSを説明していた.これだけみれば問題はない.女性に多い病気なのだから,女性を取材するのに,なんら問題はない.

次に,イリボーという特効薬があることも事実である.イリボーはアステラス製薬が発売している下痢型IBS治療薬である.これはかなり効くらしく,私も処方されたことがある.ただし,私はIBSではなくIBD-UCだったので,効果は限定的で,副作用の方が強かった.それはそれとして,このイリボーの説明には男性患者が取材されていた.女性だけの病気ではないので,男性に取材することもあるでしょう.

最後に,IBSには下痢型だけではなく便秘型や混合型があるのも事実である.ここで再び女性を取材し,便秘型の説明をするとともに,腸の説明をしていた.便秘型は女性に多く,これも取材としては問題がないように思われる.

さて,一見すると問題がないような気がする.しかし,大問題がある.それは特効薬として紹介されていたイリボーは男性にしか処方できないことである.イリボーの添付文書には以下のように明記されている.

現時点で得られている臨床成績では、女性における本剤の有効性は認められず副作用発現率が高いことから、本剤を女性に対して投与しないこと。(「臨床成績」の項参照)

イリボー錠2.5μg/ イリボー錠5μg

強調部分は筆者による強調である.つまり,イリボーがIBSの特効薬であることは間違いないと思われる(実際にかなりの効果が期待されるらしい)のだが,女性には使えない旨は番組中では触れられていなかった.そして,前後の文脈から,IBSは女性に多い病気として取り上げられており,当然ながら,イリボーは女性IBS患者にも有効であるかのような番組構成となっていた.

まとめ

つまり,番組の問題点を整理すると,以下のようになる.

  • イリボーがIBS全体に有効な特効薬であるかのような内容であった
  • イリボーが女性IBS患者に適用できない旨の説明はなかった
  • イリボーが下痢型IBS以外には適用されない旨の説明もなかった

以上のような説明が欠落しており,番組を見た視聴者は「イリボーでIBSにさよならー!」と勘違いする可能性が高い.しかし,これはとくダネ!の所為ではないかもしれない.何故なら,アステラス製薬のイリボー押し広告だった可能性がありそうだからだ.そうだとすれば,あの内容は納得できる.アステラス製薬はIBSにご執心のようで,CMを流したりしていたし,IBSネットもアステラス製薬のものである.別に,アステラス製薬が悪いとは思わないし,イリボーに効果が無いとも思わないけど,メディアとして放送する以上は,ちゃんと情報を発信して欲しいと思う.

まぁ,とくダネ!は情報プレゼンショーですから,報道番組じゃないので,どっちかっていうとバラエティのノリなんでしょうね.おもしろおかしくというとこなのでしょう.つまりまとめると,とくダネ!のような番組もあるので,テレビで言われているような内容は,どんなに真面目な内容だったとしても,疑って見て,鵜呑みにしないようにしましょうと言うことです.IBSのことはお医者さんまたは薬剤師におたずね下さい.というか,実際のIBS患者にお尋ね下さい.自分の病気のことはその人が1番よく知ってます.

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