- 投稿: 2011年04月14日 19:40
- 更新: 2011年04月14日 14:51
- 教育
中学校の理科1分野で皆さんは電気回路について学修しているはずです.オームの法則とか聞いたことありますよね?「理科は苦手!」っていう人でも,以下の回路ぐらいは読めるんじゃないかと思います.
簡単なLEDを光らせる回路です.だがしかし,これが今の中高生,果ては大学生までわからないかもしれないのです!なんという教育崩壊!ゆとり教育の弊害!
いや,違うんです.電気用図記号はJISで策定されていて,上図のような電気用図記号はJIS C 0301で規定されています.しかし,このJIS C 0301は1997年から1999年にかけて策定されたJIS C 0617によって廃止されました.このJIS C 0617は国際規格であるIEC 60617を基に作成されており,国際準拠になっております.そして,JIS C 0617およびその基となっているIEC 60617では,抵抗を含め,電気用図記号が変わっているのです!(だだだーん!)新旧の抵抗の電気用図記号の比較はこちらから.そして,新旧JISによる電気用図記号はこうなった!
抵抗の他にもいろいろな記号が変わっていて,私に影響がある範囲だと,ダイオードとNPN型トランジスタも変わっています.コンデンサは許容範囲内かな.
JISが変更になっているので,当然ながら教科書もそれに準拠し変更されており,今現在の教科書では,JIS C 0617が使われています.この移行時期が定かではなく,2002年,2004年という複数の情報があり,どれが正しいのかは未確認です.しかしながら,とにかく今の中高生はJIS C 0617で習っているので,JIS C 0301の記号を出しても「???」となる可能性が高いのです.ただし,JISは拘束力はないので,往々にしてJIS C 0301の記号があちこちで使われています.
かくいう私も今日の今日まで知りませんでした.JIS C 0617の抵抗記号で回路図を描いてくる学生がいて,「横着してるな」と思って疑わないほどでした.これは由々しき事態です!中高の先生は間違いなくJIS C 0617に準拠して教えているでしょう.その際に,JIS C 0301に触れて「このような記号を使うこともあります」と説明しているかもしれません.しかしながら,大学教員(電気回路が専門の人は別として)の多くはこれを知らない可能性が非常に高いです.これは良くない.「大学教員は浮世離れしている」とか「大学教員は自分の専門しか興味がない」とか「大学教員は教育に興味はない」などとあることないこと言われてしまう材料です.正さなくてはならない!今こそ,正さなくてはならない!正しい知識で,わかりやすい教育を!
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