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仕事・所得と資産選択(’08) 第12回

  • 投稿: 2010年12月27日 17:43
  • 更新: 2010年12月27日 17:43
  • 教育

第12回は「高齢者世帯の生活と家計」です.深刻です.

高齢化社会とは高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口)が7~14%未満の間にある社会を指すが,高齢社会になると高齢化率が14%を超えた社会を指す.2025年には高齢者が3人に1人の超高齢社会を迎えるといわれている.2055年には85歳の人口が最も多くなると推計されている.2055年の平均寿命を男性83.67歳,女性90.34歳と仮定すると,65歳以上の老年人口は40.5%にもなると予想されている.また,15~64歳の生産年齢人口が51.1%,0~14歳の年少人口が8.4%と予想されている.

国民年金の支給額は物価スライドするが,年金額は1人月額66000円である(2007年).老後に必要な生活費は,無職世帯の場合,夫婦世帯で27万円以上,単身世帯で20万円以上である.余裕ある老後を過ごすためには夫婦で月30万円以上は必要となる.年金の支給は65歳からなので,60歳で退職した場合,5年間は収入がないため,年金の支給を受けるまでに夫婦で1800万円が生活費として必要になる.年金が支給されても,国民年金だけでは夫婦世帯で11万円,単身世帯で7万円も足りない.つまり,平均寿命まで生きるとすれば,死亡までに4000万円の貯蓄が必要となる.

遺言書では,相続人以外の人に財産を与えることも可能となる.遺言書には普通方式と特殊方式があるが,一般には普通方式を指す.普通方式には,

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

がある.自筆証書遺言は無効となるものも多いため,公証人が作成する公正証書遺言が好ましい.相続税には基礎控除があり,5000万円(+1000万円×法定相続人の人数)である.わかりやすく言えば,遺産は5000万円にして,生前贈与してしまうのが良いように思える.生前贈与の基礎控除額は110万円なので,ごにょごにょ.葬儀費用はピンキリであるが,日本消費者協会の調査では平均236.6万円,万円となっている.

全国の消費生活センターに寄せられた相談のうち,契約当事者が70歳以上の相談件数は毎年増加し,2005年には14万人に達しており,相談全体の11%を占めている.契約当事者が70歳以上の上位販売方法や手口は,

  1. 家庭訪問販売
  2. 電話勧誘
  3. 次々販売
  4. 販売目的隠蔽
  5. 点検商法
  6. SF商法(新製品普及会の略)

となっている.内閣府では,高齢福祉関係団体,消費生活関係団体などと協力して,高齢者見守りネットワークを作っている.また,高齢者を悪質商法などから守るために,成年後見制度が制定された.成年後見制度とは,申し立てによって,裁判所が物事を判断する能力の不足の程度に応じて選任する保護者によって本人を保護する制度で,補助,保佐,後見の3つがある.これらによって,保護者の同意を得ずに結んだ契約を取り消すことができる.あらかじめ公正証書によって保護者(任意後見人)になってもらう任意後見制度もある.

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